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メルシャン、開墾したブドウ畑が”生態系の回復”に寄与? - 長野県上田市の椀子ヴィンヤードの取り組み

マイナビニュース / 2024年5月27日 11時13分

画像提供:マイナビニュース

「日本を世界の銘醸地に」というビジョンのもと、世界品質のワインを持続的・安定的に生産するため、自社管理のヴィンヤード(=ブドウ畑)にて高品質なブドウを栽培しているメルシャン。長野県上田市では「椀子(まりこ)ヴィンヤード」を展開しているが、ブドウ畑の整備を進めたところ、地域の自然環境が回復したばかりでなく、最近では絶滅危惧種の昆虫や植物まで戻ってきたという。現地で関係者に詳しい話を聞いた。

○■椀子ヴィンヤードの特徴

JR北陸新幹線の上田駅から車を走らせること30分あまり。標高約650mの陣場台地まで来ると、あたりは見渡す限り緑一色のブドウ畑が広がる。窓を開けると、爽やかな高原の風。遠くから聞こえてくるのは、ヒバリの鳴き声だろうか。

かつて当地は、養蚕農家が桑を盛んに栽培していた。しかし生産者の高齢化などにともない、1990年代には遊休荒廃地となってしまう。そこでメルシャンでは、日本ワイン醸造のためのブドウ畑を開墾。椀子ヴィンヤードを2003年に開園した、という経緯がある。

ブドウ畑の真ん中にポツンと建つのは、国際品種のワインを醸造している「椀子ワイナリー」。地域、自然、未来との共生を目指すブティックワイナリーで、昨年(2023年)より「シャトー・メルシャン 椀子ワイナリーSDGsツアー」も実施している。

椀子ヴィンヤードでは2014年より、キリンホールディングス、メルシャン、農研機構の3者が連携して生態系の共同研究を行ってきた。キリンホールディングスの藤原啓一郎氏は「もともとはブドウ畑が自然に与える影響を把握することが目的でした。すでに調査では昆虫168種、植物289種を確認していますが、その過程で、どうやら絶滅危惧種のチョウをはじめとする昆虫、そして草花の数も回復してきたらしいことが分かったんです」と話す。

昆虫や植物にとって、このブドウ畑の何が良かったのだろうか? 一般的に、日本国内ではブドウは(食用もワイン用も)棚栽培で育てられることが多い。しかしメルシャンでは、椀子ヴィンヤードにおいてブドウを垣根栽培してきた。定期的に草刈りなどの手入れが必要となるが、果実の風味がより凝縮できるメリットがあるそうだ。実はこの取り組みが、図らずも”草原を作る”ことにつながっていた。藤原氏は「自然環境のなかで、垣根仕立て・草生栽培のブドウ畑が良質な草原として機能し、生物多様性にポジティブなインパクトを与えていたんです」と笑顔になる。

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