1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

メルシャン、開墾したブドウ畑が”生態系の回復”に寄与? - 長野県上田市の椀子ヴィンヤードの取り組み

マイナビニュース / 2024年5月27日 11時13分

ここで農研機構の楠本良延氏は、古き良き日本の農村には里山、水田、畑、河川、平地林があり、そのなかで多種多様な生物が生息してきたと振り返る。「でも、人間によって維持管理されてきた”二次的自然”とも言える農村がめっきりと減り、各地で里山が放棄されるなどした結果、そこを住み処にしてきた生物が絶滅の危機に瀕するようになりました」と楠本氏。かつて1880年代の日本は、国土の30~40%が草原だった。これが現代は1%まで減少してしまった、というから驚く。

ちなみに当地は2023年10月に、環境省より「自然共生サイト」に正式認定された。自然共生サイトとは、国が認定する「民間の取り組みなどにより生物多様性の保全が図られている区域」のこと。2023年前期には国内の122カ所が認定されたが、そのなかで唯一、椀子ヴィンヤードは民間事業者が経営を通じて生態系を豊かにしている好事例となった。

メルシャンでは、今後も希少種・在来種の再生活動に力を入れていく。直近の取り組みでは、ボランティアおよび地域の上田市立塩川小学校と共に、絶滅危惧種のオオルリシジミ(チョウ)が食草にしているマメ科のクララを増やす活動を実施。また農研機構とは新たな共同研究として、剪定したブドウの枝などを活用した「バイオ炭」による炭素貯留効果の評価などを進めている。

最後に、楠本氏は「日本ワイン用のヴィンヤードでは、ワイン生産と生物多様性の回復が両立できることが証明できました。ワインを作ることで、副次的に自然が守られています。植生回復の試みも良好です。椀子ヴィンヤードは、CSV活動を通じた生物多様性保全の良好な事例として評価できます」とまとめた。

椀子ワイナリーでは現在、テイスティングのできる5つの有料ツアーを実施中(いずれも要予約)。ワインを存分に楽しめる定番の「椀子ディスカバリーツアー」(約100分、4,000円)や、広大なヴィンヤードを歩いたあとワイナリーでワインとランチBOXを楽しめる「椀子ウォーキング&ランチツアー」(約150分、1万円)などを用意している。開催日程などの詳細はホームページを確認のこと。

このほかワイナリー2階のワインショップでは、約30種類のワインやオリジナルグッズを販売している。

近藤謙太郎 こんどうけんたろう 1977年生まれ、早稲田大学卒業。出版社勤務を経て、フリーランスとして独立。通信業界やデジタル業界を中心に活動しており、最近はスポーツ分野やヘルスケア分野にも出没するように。日本各地、遠方の取材も大好き。趣味はカメラ、旅行、楽器の演奏など。動画の撮影と編集も楽しくなってきた。 この著者の記事一覧はこちら
(近藤謙太郎)



この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください