北大、幅広く応用可能な性質の揃ったナノ粒子を簡便に作成する方法を開発
マイナビニュース / 2024年5月27日 20時59分
今回の研究で連結部位に用いられたオリゴリシンは、アミノ酸の「リシン」が多数連結したものであり、生物実験で最も多用されているタンパク質分解酵素の1つである「トリプシン」によって分解される。BNS法による粒子生成のメカニズムを解明するため、オリゴリシンを連結部位、コア部位に周辺環境に応じて光吸収特性などが変化する「ポルフィリン分子」としたメゾスコピック粒子が合成され、その光応答などが調べられた。その結果、同手法を適用するのに必要な連結部位の長さや、連結部位の長さの調整によってコア部位の光吸収能力や光をトリガーとした活性酸素発生能力の制御が可能であることが突き止められたとした。
さらに、BNS法はオリゴリシンとトリプシンの組み合わせだけでなく、「ヒアルロン酸」とその分解酵素「ヒアルロニダーゼ」の組み合わせなど、多様な酵素分解性基質と分解酵素の組み合わせに幅広く応用できることも確認された。
また、オリゴリシンが連結部位に、発光性量子ドットがコア部位に用いられたところ、生体内での血中滞留性が良いとされる約80nmサイズの量子ドット集合体によるメゾスコピック粒子「ms-QD」の合成に成功したという。同粒子は、光照射により自身の居場所を知らせる光ラベルとして機能する上、オリゴリシンは細胞に取り込まれやすいという性質を持つ。研究チームでは、それらの性質を利用することで薬物キャリアとして機能することを期待し、同粒子に光がん治療薬候補の「rTPA」を載せて、生体組織モデル(スフェロイド)内における性能を調べることにしたとする。その結果、同粒子は効果的に光ラベルとして機能した上で、rTPAの光殺がん細胞効果を発揮させる薬物キャリアとしても働くことが実証されたとした。
このようにBNS法は、さまざまな酵素分解性基質と有機分子あるいは無機材料との組み合わせに応用できることから、ナノ材料開発に膨大な数の選択肢を提供することができるという。さらに、同手法は主に水中で作用する酵素を使うので、工業化において有機溶媒の利用を抑えたサステイナブルなナノ材料作成方法となり得るとしている。
(波留久泉)
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