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JAXA、日本が提供したNASAのNGR宇宙望遠鏡用光学装置が性能を達成と発表

マイナビニュース / 2024年5月27日 21時58分

しかし小型惑星を直接観るには、わずか0.1秒角(1/3600度)離れたところで、可視光線での明るさの比が主星の約1/100億という、極めて暗い天体を観測できる技術が必要だ。そのためNGRSTのCGIでは、主星から0.2秒角離れたところで、約1/1000万よりも暗い天体を検出し、さらにさまざまな画像処理解析を施すことで、最終的に約1/10億の高コントラスト観測の実現が目指されている。

そのためCGIには、光の波面を制御する可変形鏡や、光の道筋上で結像させた焦点面や瞳面で主星の明るい光だけを隠すための工夫が凝らされたコロナグラフマスクなどが装備される。主星の明るい光を隠すだけではなく、周囲に広がる淡い光(回折光)を含めて隠したり、打ち消し合ったりさせることで、惑星を観測できる高コントラスト観測の実現が目指されている。また、このように主星の光の影響をできるだけ低減した上で、光を波長ごとにわける分光観測や、反射光を分離できる偏光観測機能により、さらにコントラストを高めることも期待されている。

NGRSTで約1/10億の高コントラスト観測を達成できれば、その技術をより大型の宇宙望遠鏡に応用することで、地球類似惑星を検出できる約1/100分の高コントラスト観測の実現に迫れるとする。現在、NASAを中心に国際大型計画「ハビタブル・ワールド宇宙望遠鏡」の検討が始められているが、NGRSTのCGIの成果は同計画などにも直結するという。

またNGRSTの開発と運用は国際共同であり、日本からはJAXA ISAS NGRSTプロジェクトを中心に、大阪大学、国立天文台、北海道大学、名古屋大学などの研究者が参加している。

CGIについては、日本の経験・実績を活かした「偏光」観測機能を付け加えるため、光学系のデザインを担当。そこに国内企業の加工・コーティング技術を加えて光学素子が開発され、NASAに提供された。また、CGIの心臓部といえるマスク製作のための精密光学基板の提供も、JAXAが行った(マスクの加工自体はNASA ジェット推進研究所が担当)。

CGI以外の日本のNGRSTへの貢献は、(1)WFIで得られる膨大な観測データを受信するためのJAXA地上局による受信協力、(2)国立天文台と協力してすばる望遠鏡-NGRST協調観測の実施、(3)大阪大学と協力してPRIME望遠鏡-NGRST協調観測の実施、(4)観測計画の策定への参加を含む科学協力、などだ。これらについても、打上げに向けて準備が着々と進められているとしている。
(波留久泉)



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