バイプレイヤーの泉 第132回 『アンメット』若葉竜也、感情と表情ゼロで演じる三瓶先生が良すぎた
マイナビニュース / 2024年5月30日 6時0分
さらに三瓶先生、前述の喫煙者確定というあの風貌なのに、ミヤビへの愛も半端ではない。第5話で記憶をなくしてしまうミヤビが、毎日手作りのロールキャベツを病院のスタッフに振る舞う。「毎日同じだ」と文句をつけるスタッフもいる中、何も言わずにむしゃむしゃとロールキャベツを頬張る三瓶。原作漫画によると、普段は左利きの三平先生が「味わって食べたいから右手で食べる」と、右手で食べていたエピソードもまた……。これには私も「愛だな~!」とリビングで思わずのけぞった。
「彼氏に愛してるって言われたい!」
「夫が好きだと言葉にしてくれない」
と不満を言う女性に言いたい。なにも言わずに自分を受容してくれるだけで、十分な愛なのだと……と、三瓶の罠にまんまとひっかかっている。
演じている若葉さん、どんな人なのかと検索するとご実家は大衆演劇の一座らしい。私もけしてこの分野に詳しいわけではないが、幼い頃から多数の大人に囲まれて育つという、現代人が持ち合わせづらいポテンシャルをすでに秘めている。もうこの時点で若葉さん、手強い。
ご実家の流れには乗らず、映画やドラマ、舞台というエンタメの世界に来てくれたのは『アンメット』を見ているとありがたいと思ってしまう。今回のヒットまで相当数の作品にバイプレイヤーとして出演しているけれど、よくぞ長年腐らずにいてくれた。
『杉咲花の撮休』、朝ドラ『おちょやん』、映画『市子』など杉咲さんとも共演率の高い若葉さん。老婆心ながらとてもよく似合っている二人だとお見受けするので、いつの日かそういう報道が出たら「やっぱり~?」と目をかっ開いて喜んでしまいそうだと思っていた、このコラムを書いている5月21日。まさかの翌日、二人の"そういう報道"がネットニュースで流れてきた。どうか、どうか、お幸せに!
小林久乃 こばやしひさの エッセイ、コラム、企画、編集、ライター、プロモーション業など。出版社勤務後に独立、現在は数多くのインターネットサイトや男性誌などでコラム連載しながら、単行本、書籍を数多く制作。自他ともに認める鋭く、常に斜め30度から見つめる観察力で、狙った獲物は逃がさず仕事につなげてきた。30代の怒涛の婚活模様を綴った「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」(KKベストセラーズ)を上梓後、「45センチの距離感」(WAVE出版)など著作増量中。静岡県浜松市出身。Twitter:@hisano_k この著者の記事一覧はこちら
(小林久乃)
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