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“野球肘”の早期病変を超音波画像から高精度で発見するAIを開発

マイナビニュース / 2024年5月30日 13時56分

今回の研究では、画像全体からOCDを識別するのではなく、専門医による診断と同様に、骨表面に限定して病変の有無を検出することで、より高い検出精度を目指したとのこと。骨表面の検出には、車や人物の自動検出にも使用される物体検出アルゴリズム「YOLO」が採用された。そして、検出された骨表面が健常かOCDかの分類には、16層からなる深層学習モデル「VGG16」を用いたといい、また学習データ用として、成長期の野球選手の肘関節後方長軸の超音波画像の収集を行い、それらが用いられた。VGG16の学習データは、京府医大大学院 医学研究科のOCD治療を専門とする運動器機能再生外科学(整形外科医)の合議により正確な学習データを作成し、分類精度を高めたという。

研究チームによると、今回開発されたAIを用いた手法により、画像全体からOCDを検出する方法と比較して、骨表面に限定したOCDの識別では、検出の正確度が0.806から0.890に向上。さらに、今回のアルゴリズムを、肘関節の4つの方向(前方長軸、前方短軸、後方長軸、後方短軸)の超音波画像に対し、同様の手法で適用したとする。

また今回のアルゴリズムを野球肘検診参加者20名(正常10名、OCD10名)のデータに適用した結果、OCD検出の精度はROC曲線から求められた「AUC5」(0~1の範囲の値を取り、1に近いほど分類モデルの判別脳が高いことを示す)が、前方長軸で0.969、前方短軸で0.966、後方長軸で0.996、後方短軸で0.993、また正確度は前方長軸で0.915、前方短軸で0.920、後方長軸で0.970、後方短軸0.960と、すべての方向で非常に高い精度が示されたとした。

今回開発されたAIを活用したOCDのリアルタイム自動検出システムを臨床現場に導入できれば、野球肘検診の効率を大幅に向上させられる可能性があるという。研究チームはこれにより、検診に必要な時間を短縮し、人的資源も削減できる可能性があるとする。さらに、野球肘検診だけでなく、クリニックや一般外来診療においても同疾患の検出機会を増やすことができ、結果として早期発見率の向上が期待されるとしている。
(波留久泉)



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