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歩行者集団の足並みがバラバラな方が壊れにくい流れを形成できる、京工繊などが確認

マイナビニュース / 2024年5月30日 18時20分

画像提供:マイナビニュース

京都工芸繊維大学(京工繊)、長岡技術科学大学(長岡技科大)、東京大学(東大)の3者は5月29日、歩行者集団の行動実験において、個々の足並みがバラバラな方が頑健な集団的パターンを形成することを確認したと発表した。

同成果は、京工繊 情報工学・人間科学系の都丸武宜特任研究員、長岡技科大 技学研究院 情報・経営システム系の西山雄大准教授、東大大学院 工学系研究科 航空宇宙工学専攻のフェリシャーニ・クラウディオ特任准教授、京工繊 情報工学・人間科学系の村上久助教らの共同研究チームによるもの。詳細は、英国王立協会が刊行する物理科学と生命科学の境界に関する全般を扱う学術誌「Journal of the Royal Society Interface」に掲載された。

自然発生する集団的な振る舞いの1つとして、横断歩道で対面歩行者の集団がすれ違う際に、自然といくつかの列に分かれる「レーン形成現象」がある。マスゲームや入場行進のように、全体を統制する計画や指揮者は存在しないにも関わらず、個々の歩行者が近くにいる他の歩行者と局所的に相互作用することで、秩序だった円滑な流れが集団全体を通して自己組織化(個体間の相互作用から、集団全体にわたる秩序だった構造が組織化される現象)される。

また集団においては、隣り合う歩行者間で歩行ステップのタイミングが自然と揃う「同期現象」も生じることがある。従来研究では一列に並んだ歩行者による実験が行われ、その結果、同期が生じる理由として、前の歩行者とぶつからないよう、同じ側の足を同時に踏み出すためと考えられてきた。それに加え、集団に一定テンポの音や音楽に合わせて歩いてもらうと、流れが良くなるという報告もある。

しかし普段街中を歩く時、実験のように一列に制限されることはあまりなく、通常は自己組織化を通して空間的な構造が生じる。個々の歩行ステップが集団の流れや自己組織化に与える役割を理解するためには、一列に制限するのではなく、より自由に歩ける状況での検証が不可欠だとされることから、研究チームは今回、その考えのもとに、24人ずつの2集団が対面して歩いた時に生じるレーン形成を対象とした実験を実施することにしたとする。

具体的な観察方法としては、ビデオ解析による歩行軌跡の取得と合わせ、ステップのタイミング計測のため、歩行者の両足首に加速度センサを装着し、歩行に条件をつけた場合とつけない場合の比較がなされた。前者では、歩行者の平均的な歩行テンポを聴覚的に再現する電子メトロノーム音を常時スピーカーから流し、それに合わせて歩行。後者では、音のガイドがない状態で通常通りに歩行を行う形で、それぞれ20回ずつ施行された。

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