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東邦大、DHAが胃の過剰な運動促進機能の予防効果を有する可能性を発見

マイナビニュース / 2024年6月3日 17時49分

画像提供:マイナビニュース

東邦大学は5月31日、魚油に豊富に含まれる「ドコサヘキサエン酸」(DHA)が「ブラジキニン」(BK)などの生理活性物質による胃底平滑筋の収縮反応を抑制することを解明し、これまでにDHAが「電位依存性Ca2+チャネル」(VDCC)を抑制することが解明されていたが、「ストア作動性Ca2+チャネル」(SOCC)の1つである「Orai1チャネル」を抑制するという新たな薬理作用を見出したことを発表した。

同成果は、東邦大大学院 薬学研究科 博士課程医療薬学専攻の徐加悦大学院生(研究当時)、東邦大 薬学部 薬理学教室の小原圭将准教授、同・吉岡健人講師、同・日下部太一講師、同・高橋圭介准教授、同・加藤恵介教授、同・田中芳夫教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、英オンライン総合学術誌「Scientific Reports」に掲載された。

DHAは、各種循環器系疾患のほか、数多くの疾患に有益な予防効果を発揮する可能性が報告されている。これまでその効果の一部は、長期的な摂取によって「炎症性プロスタノイド」の産生が抑制されることで、もたらされると考えられてきた。しかし研究チームはこれまでの研究により、DHAがプロスタノイドTP受容体(TP受容体)を標的とし、それを介した各種血管平滑筋、気道平滑筋の収縮反応を即時的に抑制することを見出していた。

TP受容体は、血管や気道のような持続的な収縮反応を引き起こす平滑筋だけでなく、一過性の収縮反応を引き起こす消化管平滑筋においても、その収縮性の制御において重要な役割を担う。それらの収縮に対するDHAの抑制効果と機序についても研究チームは検討済みで、DHAの抑制効果の機序の一部に、TP受容体での拮抗作用が関与することを明らかにしていた。それに加え、胃底平滑筋のプロスタノイドによる収縮に対するDHAの抑制効果には、VDCCに対する抑制にも関与することを見出していたとする。

その一方で、胃底平滑筋の収縮性は、BKや「アセチルコリン」、「アンジオテンシンII」(Ang II)など、非プロスタノイド系の生理活性物質によっても制御されていることがわかっていた。そこで研究チームは今回、BK、アセチルコリン誘導体の「カルバコール」(CCh)、Ang IIによる胃底平滑筋の収縮反応に対する、DHAの影響を検討することにしたという。

まず、モルモットの胃底平滑筋において、BK、CCh、Ang IIにより誘発される収縮反応に対するDHAの抑制効果が調べられた。その結果、DHAはそれらの収縮反応を有意に抑制することに加え、それらの収縮反応が外液Ca2+の除去でほぼ完全に抑制されることがわかった。その一方で、VDCC抑制薬「verapamil」による抑制率は、CCh収縮はほぼ完全に抑制されたが、Ang II収縮は約60%、BK収縮は20%と、それぞれ異なっていたという。この結果から、BK収縮に対するDHAの抑制効果には、VDCCに対する抑制以外の機序が関与することが示されたとする。

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