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吉川明日論の半導体放談 第304回 コンピューター界の女傑列伝

マイナビニュース / 2024年6月5日 6時57分

画像提供:マイナビニュース

現在放映中のNHK朝ドラが話題となっている。日本で女性初の弁護士・裁判官となった実在の人物に基づく話であるが、舞台は昭和の初め頃と言うからそんなに昔ではない。ドラマの主人公は女性だという理由でいろいろな困難を経験するが、それを跳ね返す主人公の活躍は観ていて痛快である。「女性の社会進出」などという言葉自体は既に死語となった感があるが、全ての才能豊かな人材に社会貢献の機会が与えられている状態なのかと言うと、残念ながらそうとは言えないというのが日本の現状なのだという印象がある。

投資の神様として知られている米国の投資家ウォーレン・バフェットが「成功の秘訣は?」と聞かれ、「私が若かったころは、人口の半分である男性との競争だけを考えていればよかったからね」、とあっさりと答えたインタビュー記事を随分と昔に読んだ覚えがある。
世界最初のコンピューター誕生秘話、ENIACを支えた6人の女性プログラマー

少し前のコラムで世界初のコンピューター「ENIAC」について調べていたら面白い記事にたどり着いた。1946年、米ペンシルバニア大学において完成された世界最初の電子計算機ENIACの開発には、少なくとも6人の女性研究員の活躍があったという話である。

ENIACのアーキテクチャーはプログラム内蔵方式ではなく、プログラムはその都度配線を物理的に繋ぎ変える事によって生成された。その理由でプログラミングは大変に複雑な力仕事で、膨大な量のENIACのハードウェア構成図と配線図、微分方程式を解析したうえで適切な電子回路となるようにケーブルを配線するという作業だ。お披露目の日が迫る中、ハード/ソフトの両方のバグが多く検出され作業は困難を極めたが、この6人の女性の集中力と忍耐強さでENIACの公開デモンストレーションは大成功を収めた。しかし、その成功を祝う名士が集まるレセプションには彼女らは誰一人招待されず、結局、世界最初のコンピューターの開発には名を残せなかった。第二次世界大戦後間もなくの時期であったために、男性の技術者が絶対的に不足していた事が彼女らに声がかかった理由の一つであったらしいが、大変に残念な話である。

半導体業界での女性の存在

私がAMDに入社した時に、私の上司であった当時のAMD副社長Ben Anixterが私に言った言葉は、その後も私の職業観に大きく影響を与えるものであった。「AMDは優れた人材を必要としている。我々はその人材に投資するのであって、その人材の性別など全く問題ではない」とすっぱりと言ったのを今でもはっきりと記憶している。「さすがにシリコンバレーだな」、と実感する場面はいくつもあった。割合はそう高くはないものの、営業・マーケティング、エンジニアリング、法務部と女性は幅広く活躍していて、高いポジションについている人たちも多くいた。

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