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九大、後の出来事が直前の出来事に錯覚を起こさせる脳の仕組みの一端を解明

マイナビニュース / 2024年6月5日 15時0分

具体的には、動きの予測や動きの方向に対する位置ずれでは説明できない条件において、古典的なVSIと同じ結果が得られるかどうかが調べられた。2番目の光刺激を提示する位置を3番目と同じにした1つ目の実験では36人、2番目の光刺激が1番目や3番目の外側に提示される2つ目の実験では21人、2番目の光刺激が縦にずれた(3つの光刺激が直線上に並んでいない状態)3つ目の実験では16人の被験者がそれぞれ参加した。光刺激は有機ELディスプレー上に提示され、被験者は、知覚された2番目の光刺激の位置をマウスでクリックして応答する形で調査が行われた。

いずれの実験においても、3つの光刺激が持続時間17~33ミリ秒、間隔50ミリ秒で提示された場合には、1、2、3番目の光刺激が一列に並ぶように知覚される傾向が確認されたが、3つの光刺激がゆっくり提示されると錯視は起こらず、光刺激が提示された位置にほぼ正確に知覚されることが確認されたという。

これらの実験結果は、動きの予測や運動による位置のずれだけでは説明できないと研究チームでは指摘しており、3つの光刺激の提示を1つの出来事としてまとめて知覚し、単純でもっともらしい解釈による光刺激の知覚的な再配置を脳内で行ったことが考えられるとするほか、この過程では、時間的に後の3番目の光刺激が2番目の光刺激の知覚に影響することからポストディクションが起こっていると考えられるとしている。

なお、研究チームは今後、位置の知覚以外の他の視覚的属性(大きさ、角度などの知覚)における研究、より複雑な自然画像を用いた研究、さらにより高次な情報処理(注意、予測など)の影響についても検討していく予定としており、それらの結果の一部は7月にシンガポールで開催されるアジア太平洋視覚会議で発表する予定だという。

また今回の研究成果については、医学領域への展開も視野に入れたものとしており、例えば緑内障などで網膜上に暗点があっても自覚しにくい理由の1つに脳における視覚印象の形成が考えられるとのことで、今後の研究では、その暗点部分の見え方が、錯視によってどのような影響を受けるのかについても研究を行っていきたいとしている。
(波留久泉)



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