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理研、電子ビームの電子回折をアト秒で制御できる技術を開発

マイナビニュース / 2024年6月6日 21時34分

光とは振動する電磁場であることから、アト秒電子ビームが入射中の試料(結晶)に対してレーザー光が照射されると、同ビームは揺さぶられてしまうこととなる。レーザー光の影響により、電子は振動運動するようになるほか、レーザー光の電磁場は時間と共に振動する交流のため、アト秒電子ビームとレーザー光の間にある、試料に到達するまでの時間差によって、同ビームの試料への入射角度が変化することとなる。その変化の周期は実験で用いられた波長1μmのレーザー光の周期の3400asとなり、実験結果との周期の一致が確認されたとする。これは、超高速で振動する電磁場であるレーザー光を利用することで、電子回折の効率をアト秒の時間スケールで制御できることを示すものだという。

また、結晶に照射するレーザー光の波長(=振動運動の周期)を長くしたり、レーザー光を強く(=振動の振幅を大きく)したりすると、もはやサイン波のような振動を示さなくなるという(非線形効果)。実際、波長(=振動運動の周期)が約7倍長い高強度の中赤外レーザー光によってそのことが確かめられたとしており、この結果について研究チームは、レーザー光の波長や強度を適切に選択することで、結晶による電子ビームの回折強度を大きく変調できることが示されているとする。

なお、研究チームは今後、今回の研究成果をもとに、アト秒とオングストローム(0.1nm)という極限的な時間空間分解能を持つ電子顕微鏡の開発を進めていくとしており、それが完成すれば、物質中で電子が動く様子を動画として撮影できるようになり、化学反応や光を当てると物質の性質が変化する光誘起相転移などにおいて、ミクロなスケールでの機構解明に役立つことが期待されるとしている。また、レーザー光によって電子ビームの回折強度を変調できるという今回の発見は、光の周波数であるサブ・ペタヘルツで電流値を変調していると見なすことができ、これにより電子回折のONとOFFを光周波数で切り替えられる可能性があるともしており、このサブ・ペタヘルツの電流変調は、レーザー光による超高速の情報処理に応用できる可能性があるという。
(波留久泉)



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