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名市大、頭蓋内全体の脳脊髄液の動態をマクロ的に観測する手法の開発に成功

マイナビニュース / 2024年6月7日 19時14分

今回の実験には、20歳以上の健常ボランティア127人と、ハキム病患者44人が参加。高解像度の3テスラMRI装置で、脳脊髄液観測用の四次元フローMRI(venc:5cm/秒)と、6条件のb値(0、50、100、250、500、1000s/mm2)で拡散強調MRIが撮影され、そして3D画像解析システムを用いた脳脊髄液の往復運動の観測が行われた。

その結果、四次元フローMRIによる流速の振幅(上方向と下方向の流速の和)の観測限界が0.4cm/秒であることが確認され、流速の振幅が0.4cm/秒に相当するIVIM MRIのf値が75%であることが同定された。そこで、全頭蓋内領域で計測したIVIM MRIのf値を用いて、流速振幅を推定すると同時に、両者を組み合わせた新指標としてFOIを作成し、頭蓋内全体の脳脊髄液の動態をマクロ的に観測する手法が開発された。

そして今回の手法を用いて、健常者の加齢による脳脊髄液の往復運動の変化と、60歳以上の高齢者に多いハキム病における脳脊髄液の病的な動きが解明されたという。健常者でも60歳以上になると、脳室が拡大して中脳水道を往復する脳脊髄液の動きは増加してくるが、ハキム病ではさらに往復運動が激しくなる。同疾患では、脳室と外側溝(シルビウス裂)の拡大により頭頂部の大脳とクモ膜下腔が圧縮されて、脳の拍動が抑えられ、側脳室と広範囲のクモ膜下腔内の脳脊髄液の往復運動は小さくなるという。

今回の研究成果によって、四次元フローMRIで計算した脳脊髄液の速い往復運動と、IVIM MRIで得られた微細で遅い往復運動を統合して、全頭蓋内の脳脊髄液の動態を可視化が実現された。研究チームは今回の手法を用いて、加齢に伴う脳体積の減少、脳血液循環・脳代謝の減少と強く関連した脳脊髄液の動きをシミュレーションし、ハキム病やアルツハイマー病などの認知症における脳脊髄液の動きとの違いを三次元モデル化して(デジタルツイン)、脳の老化や認知症や脳卒中といった疾患のメカニズム解明を目指す医工連携研究に応用していく予定としている。
(波留久泉)



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