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東大など、高速スピンの集団運動を用いてテラヘルツ光の電流変換に成功

マイナビニュース / 2024年6月10日 19時28分

今回の研究では、マルチフェロイック材料の中でもスピン励起の特性が確立されている、ユウロピウムとイットリウムを含んだマンガン酸化物「(Eu,Y)MnO3」を用いて、テラヘルツ光電流測定を行うことにしたとする。同物質では、スピンの向きが特定の方向に対して回転していくような「らせん磁気構造」が発現すると共に、強誘電分極が現れることがわかっている。そしてテラヘルツ光パルスが同物質に照射されたところ、瞬時に強誘電分極の向きと反平行に光電流が生成されるという光起電力効果に特徴的な挙動が観測されたとした。

観測された光電流の生成効率は、強誘電状態でいくつか存在するスピン励起の種類によって変わり、また性能指数としても電子遷移によるものと遜色ない、極めて高効率な光電流変換であることが判明。一般的なフォトニクスやエレクトロニクスでは自由に動き回る電子が不可欠だが、今回の結果は、そのような電子の存在しない絶縁状態が保たれたままでも、光起電力が生じるという新奇な現象が存在することを意味しているという。今回、より実際の物質に即した理論モデルが構築され、それらの特徴を説明することに成功したとする。同理論モデルから、観測された光起電力効果はスピン励起により電子の波動関数が変化していることが本質的であり、量子幾何効果(波でもある電子を特徴付ける重要な量の「位相」が持つ幾何学的な性質)が、重要な役割を果たしていることが明らかになったとした。

テラヘルツ光は、原理的にはピコ秒に到達するような極めて短い時間での高速応答性を持ち、その光機能の発見が極めて重要な意義を持つとされる。また、マルチフェロイクスのスピン励起はテラヘルツ帯を幅広くカバーしており、磁場や電場によって自在に制御することも可能なため、この原理を利用した次世代テラヘルツデバイスの開発へとつながることが見込まれるとしている。
(波留久泉)



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