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農工大など、鉄系高温超伝導体で世界最高級の磁力を持つ磁石を開発

マイナビニュース / 2024年6月10日 18時47分

小型冷凍機を用いて転移温度(38K(約-235℃))以下に冷却し、外部から磁化するとその磁石は永久磁石の性質を示し、市販のネオジム永久磁石の数倍に相当する2Tを上回る磁力が得られたという。これは、従来の鉄系高温超伝導体の磁石による世界記録を2倍以上も上回る性能だ。

また、3日間にわたり磁力の変化を計測したところ、Tクラスの強大な磁力にも関わらず、極めて小さい減衰で保持できることが確認されたとする。さらに、最新の「有限要素モデリング法」を用いた解析が行われた結果、磁力の実験値はシミュレーション結果と優れた一致を示し、磁力の起源となる超伝導電流が均一に循環していることが示唆されたとしている。

そして電子顕微鏡観察によれば、研究者とAIがプロセス設計した試料のミクロ構造に、注目すべき違いがあることが見出されたという。研究者による試料では、数十ナノメートル(nm)の間隔を比較的均一に保ちながら、ぎっしりと詰まった粒界ネットワークが観察された。一方でAIによる試料では、間隔が数十~数百nmの広い範囲を持つ、二峰性の粒界ネットワークが見られたとする。この特徴的な粒界ネットワークは、高温超伝導でこれまで見られなかったことから、どのように高い電流特性に寄与しているのかを解明できれば、鉄系高温超伝導磁石の磁力向上のブレイクスルーにつながることが期待されるとした。

AIを活用した材料の合成プロセス設計手法は、今後のデータベース基盤や生成AIの進展と相補して、大きく進化することが予想されるといい、研究者とAIの両者がそれぞれの強みを活かしながら、共に超伝導材料合成を探索する時代の幕開けとなることが期待できるとした。また、鉄系高温超伝導磁石は、実用的な用途に適した次世代強力磁石の候補の1つとして、大きな可能性を秘めているとしている。
(波留久泉)



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