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「良い手術を受けるために患者さんがすべきこと」と「日本の医療制度の問題点」/渡邊剛(ニューハート・ワタナベ国際病院総長)

マイナビニュース / 2024年6月12日 7時30分

──そうですね。
「私の友人で肺がんの手術を行っている外科医がいます。彼の手術を受けた患者さんは、手術終了1時間半後には歩けて、水を飲んで吐き戻しがなければ食事もできます。それは80歳の高齢者であろうと可能で、さらに翌日には退院できるそうです。
このような術後にまで気を配った手術ができる医者に出会えた方がいいですよね。『目の前にいるお医者さんにすべて任せましょう』という考えは、もう古い。誰に自分の命を託すかは、患者さん自身が知識も得て決めるべきです」

○■医療制度を改革したい、代案はある

──先生は、日本の医療制度も改めるべきだと言われていますね。
「どう考えても理不尽だと思われることが、世の中にはいくつもあります。利用者や多くの人が『変えるべきだ』と思っているにもかかわらず、一度決められた制度はなかなか見直されることはありません。
日本の医療制度も、そうなのです。
健康保険制度は、誰もが医療機関にアクセスできるという意味で素晴らしいものだと思いますが、問題は手術の部分が『出来高払い』になっていることなんですよ」

──「出来高払い」というのは?
「『出来高払い』とは、診療等にかかった費用を足し算で病院が請求できるシステムで、検査や治療を重ねるたびに請求金額が増えていきます。それだけ話すと『何が問題なのか?』と思われるかもしれませんが、この『出来高払い』は実に理不尽で、また心臓外科医の精鋭化を妨げてもいるのです。

わかりやすいように例を挙げましょう。
医師Aが完璧な手術をし、合併症を引き起こすこともなく患者さんを退院させたとします。
一方で医師Bは下手な手術をして患者さんが合併症を引き起こし、多くの薬の投与、輸血等が必要になったとします。当然、入院期間も長くなりますよね。
この場合、前者よりも後者のほうが請求額は高くなります。
つまり、完璧な手術をした医師Aよりも、下手な手術をした医師Bの方が病院を儲けさせることになってしまうのです」

──それは理不尽ですね。
『もう少し具体的に言えば、『ニューハート・ワタナベ国際病院』で心臓手術を行うと、1件あたり250~400万円ほど(保険適用により患者さんの負担額は5~30万円程度)。ですが、手術成績のよくない施設で行った場合、請求額が膨らみ時には1000万円近くになる場合もあります。
このままでは、下手な外科医と、それで儲ける病院経営者がいることで患者さんにカラダに負担がかかるのと同時に医療費の無駄使いが続いてしまいます。

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