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「良い手術を受けるために患者さんがすべきこと」と「日本の医療制度の問題点」/渡邊剛(ニューハート・ワタナベ国際病院総長)

マイナビニュース / 2024年6月12日 7時30分

これは、民間の病院に限らないんですよ。
以前に私が在籍した金沢大学附属病院の病院長は、私にこう言いました。
『心臓外科は入院期間が短いから儲からない。もっと長く入院させろ。それができないなら第1外科からベッドを取り上げる』
無茶苦茶な話です。
『必要のない長期入院は、血税の無駄使いではないですか』
私がそう返すと、病院長は烈火の如く怒りました。国立の大学病院にも、そんな歪んだ状況があるのです。

──そんな医療制度は変えていくべきですね。代案はありますか?
「あります。『出来高払い』を『包括型』に変えればいいのです。
たとえば、○〇手術は○○○万円という具合に定額制にして、それ以上は保険請求できないようにします。すると、下手な手術をすれば病院が赤字になりますから、たちまち未熟な医師は淘汰されることになるでしょう。
厚生労働省の方とお会いするたびに、私はその話をしています。それでも医療界の抵抗は強く、なかなか変えることができないのが現状なんですよ。
でも、このままでいいはずがありません。私はこれからも訴え続けます。患者さんが、安心して手術を受けられるようにするために。そして、心臓外科医の技術向上のためにも」

文/近藤隆夫

渡邊剛 わたなべごう 心臓血管外科医。ニューハート・ワタナベ国際病院総長。1958年、東京都生まれ。少年時代に漫画『ブラック・ジャック』に衝撃を受け、医師の道を志す。金沢大学医学部卒業後、同大学第一外科に入局。1989年、“ドイツ心臓外科の父”と呼ばれるハンス・ボルスト教授がいるハノーファー医科大学胸部心臓血管外科に留学し、2年半に及ぶ滞在期間中に2,000件にわたる心臓手術を経験。また、心臓移植を日本人最年少で執刀し成功する。帰国後すぐに富山医科薬科大学(現・富山大学医学部)に移り、そこで過ごした約8年間で「オフポンプ手術の創始と死亡率低下への貢献」「日本初のアウェイク手術成功」「世界初の完全内視鏡化下冠動脈バイパス手術の成功」など、数々の偉業を成し遂げる。2000年、41歳で金沢大学心肺・総合外科の主任教授に就任。2005年には兼任で東京医科大学心臓外科教授に就任。2014年、金沢大学を辞め「ニューハート・ワタナベ国際病院」を設立。2019年から2023年まで5年連続ロボット心臓手術件数世界一に輝いている。2010年より14年連続で「The Best Doctors in Japan」に選出。特技は手術、趣味は車のレストア。
『心を安定させる方法』(アスコム)

心臓血管外科医 渡邊剛公式サイトはこちら
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(近藤隆夫)



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