1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

量子コンピュータで大規模な分子・固体のエネルギーを高精度に求める手法、三菱ケミカルなどが開発

マイナビニュース / 2024年6月11日 17時55分

開発されたHTN+QMCは、ハイブリッドテンソルネットワークを用いて量子状態を生成することで、量子コンピューターのサイズ以上のスピン軌道を持つ化学計算の問題に対し、量子コンピュータを用いた量子モンテカルロを実行することができる手法となるが、その実行には量子状態同士の重なりを計算する必要があるという問題が残されていたという。また、その重なりの計算も、従来の最適化などで近似基底状態を生成するために準備した量子ゲートと補助ビットをもつれさせる(制御演算を実行する)ことで取得される重なり(アダマールテスト)の場合、準備したゲート数に応じて計算コストが増加するという課題があったことから、新たに量子ゲート最適化の時点で補助ビットを巻き込んだ量子ゲートに対して最適化する手法(疑似アダマールテスト)とすることで重なり計算におけるコスト増加を抑えることに成功したとしており、この組み合わせてにより、ゲートに対する制御演算を用いずに重なりを計算することを可能にしたとする。

実際に、HTN+QMCと疑似アダマールテストを組み合わせて、フォトクロミックモデル分子「モノアリルジイミダゾール」に対する基底状態の計算を実行したところ、一般的に化学現象を理解するのに必要な精度(1.6 milli-Hartree)に対し、ノイズのないシミュレータに匹敵する0.042±2.0 milli-Hartreeという高精度で基底状態を算出することができたという。

研究チームによると今回開発されたHTN+QMCは、機械学習や最適化といった幅広いタスクにも適用できるとしているほか、疑似アダマールテストも、HTN+QMCに限らず、一般的な量子状態同士の重なりや遷移振幅に適用できるとしており、化学計算のみならず、大規模タスクに対する量子コンピュータを用いた高精度な計算に向けた新たな道筋を開いたといえると説明している。
(波留久泉)



この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください