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NASA探査機「ボイジャー1」、トラブルから復活へ - 科学データの送信も再開

マイナビニュース / 2024年6月12日 15時49分

チップを修復することはできなかったため、チームはコードを、FDSメモリーの別の場所に保存することにした。

ところが、1つの場所だけでは、コードのセクション全体を保存できるほどの容量がなかった。そこでチームは、変更が必要なコードをセクションごとに分割し、それぞれをFDS内の別の場所に保存するという計画を考えた。これを実行するには、分かれたコードのセクションを調整し、すべてがひとつのコードとして機能し続けるようにするなどの工夫が必要になった。また、FDSのメモリーの他の部分における、新しいコードの保存場所への参照パスも更新する必要があった。

チームはまず、ボイジャー1の工学データをパッケージ化するコードを選び出し、そして4月18日、FDSメモリーの新しい場所にコードを送信した。そして、20日になって探査機から届いた通信を確認したところ、修復が成功したことがわかった。トラブルが発生してからじつに5か月ぶりのことだった。

さらに5月22日には、ボイジャー1の搭載機器のうち、プラズマ波サブシステムと磁力計機器から、科学データが届くようになった。

チームはまた、宇宙線サブシステムと低エネルギー荷電粒子計測装置についても、データ送信の再開に向けた作業を続けており、今後数週間以内に実施できる見込みだという。

チームでは、「これらの成果は、ボイジャー1を通常運用に戻すための大きな進歩を示すものです」としている。

ボイジャー1は、NASAが開発した惑星探査機で、1977年に打ち上げられ、木星や土星を通過して探査した。その後、2012年には太陽圏を脱出し、現在は星間空間を飛行している。姉妹機の「ボイジャー2」も1977年に打ち上げられ、木星と土星、天王星と海王星を通過して探査したあと、2018年から星間空間を飛行している。

運用チームによると、2機のボイジャーはそれぞれ、少なくとも1つ以上の科学機器を稼働させた状態で、2025年ごろまで運用し続けられると予想している。

もっとも、科学機器が止まったとしても、工学データはそのあとも数年間は送信され続ける可能性があるとしている。また、RTGの発電量にもよるものの、2機のボイジャーはともに、2036年ごろまで、NASAの深宇宙ネットワークを使って通信できる可能性があるとしている。

○参考文献

・Voyager 1 Resumes Sending Science Data from Two Instruments - Voyager
・NASA’s Voyager 1 Resumes Sending Engineering Updates to Earth
・Voyager - Mission Overview
(鳥嶋真也)



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