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JAXA、MMXの探査でフォボスの形成過程を約70%の確率で解明可能と証明

マイナビニュース / 2024年6月12日 19時20分

画像提供:マイナビニュース

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6月11日、火星の衛星の誕生は、小惑星が火星の重力に捕獲されたとする「小惑星捕獲説」と、巨大隕石が火星に落下してその際に飛び散った塵やガスが再集積してできたとする「巨大衝突説」の2説の形成過程の違いを見分けることを目的に、フォボスを対象に両仮説それぞれでどのような元素組成になるのかを火星表面や隕石の元素組成データベースを用いてモデル化。それらが相互にどの程度重なり合うのか、あるいは異なるのかを明らかにしたと発表した。

また今回の研究成果は、フォボスからのサンプルリターンを目指してJAXAが2026年度に打上げを予定している探査機「MMX」に搭載されるガンマ線中性子線分光計(元素組成観測装置)「MEGANE」を用いて元素組成を分析することで、約70%の確率で両仮説が判別できることを示唆している結果が得られたことも併せて発表された。

同成果は、東京大学(東大)大学院 理学系研究科 地球惑星科学専攻の平田佳織大学院生(JAXA 宇宙科学研究所(ISAS)所属)、ISAS 太陽系科学研究系の臼井寛裕教授、同・兵頭龍樹 国際トップヤングフェロー、同・深井稜汰特任助教らの研究チームによるもの。詳細は、太陽系研究に関する全般を扱う学術誌「Icarus」に掲載された。

火星衛星のフォボスとダイモスは、これまで火星に送り込まれた探査機や、地上の望遠鏡を用いて観測が行われ、研究が進められてきたが、その形成過程は未だ明らかになっていない。冒頭で述べたように有力な仮説として、小惑星捕獲説と巨大衝突説の2説があるが、研究者の間でも意見は分かれており、議論は決着していない。

火星の衛星の形成仮説を見分ける上で鍵となるのが、元素組成だという。もし捕獲説が正しいのであれば、火星の衛星は捕獲された小惑星に相当する組成を持つことが想定される(火星由来の組成はゼロ)。それに対し、衝突説が正しいのであれば、火星の「バルク・シリケイト・マーズ組成」(火星のケイ酸塩質部分(岩石)により構成される地殻とマントルの平均組成のこと)と、衝突した天体の組成の中間的な組成を持つことが考えられるとする。

火星の衛星の起源の解明を目指すMMXでは、米・ジョンズ・ホプキンス大学の応用物理研究所で開発されたMEGANEを用いて、フォボスの表層1m以内の平均元素組成の測定を行うことが計画されている。同分光計は、天体表面に宇宙線が入射することで表面物質(を構成する元素)から生成されるガンマ線や中性子線を検出し、その元素組成を測定するというものだ。そこで研究チームは今回、MEGANEの観測誤差や捕獲された、あるいは衝突した小惑星の種類や組成の未確定性などの現実的な条件を考慮して、MEGANEにより観測されるフォボスの元素組成から形成仮説の判別を目指すことにしたという。

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