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広島大、肝臓病を超音波を用いて正確に診断する新たな検査方法を発見 

マイナビニュース / 2024年6月12日 20時44分

画像提供:マイナビニュース

広島大学は6月11日、肝硬変や肝細胞がんにつながる危険性がある「代謝機能障害関連脂肪肝疾患(MASLD)」患者を対象とした研究において、超音波を用いた「せん断波」が肝線維化の評価、超音波の分散勾配が肝臓の炎症の評価にそれぞれ有用であり、これまでは入院をすることが多く、その上で針を刺して肝臓の細胞を採取するために痛みや出血を伴っていたMASLDの検査法の「肝生検」に代替えできる可能性があることを明らかにしたと発表した。

同成果は、広島大学病院 診療支援部 生体検査部門の上田直幸氏、同・同検査部、同・茂久田翔准教授、同・病院 消化器代謝内科の河岡友和講師らの共同研究チームによるもの。詳細は、日本肝臓学会が刊行する肝臓学に関する公式学術誌「Hepatology Research」に掲載された。

MASLDは、肝臓の細胞に脂肪が異常に蓄積することによって引き起こされ、進行すると肝線維化や肝硬変、さらには「肝細胞がん」に至る可能性がある。初期段階では症状がほとんど現れないが、進行するとだるさや、食欲低下、黄疸、腹痛のような症状が出ることがあり、最終的には肝不全や肝性脳症、転移を来たし死に至る。

従来、肝線維化の評価には、針を刺して肝臓の組織を採取する検査法の肝生検が用いられてきたが、同検査を行うには入院しなければいけないことが多く、検査時には痛みや出血を伴う。そのリスクや困難さから、痛みがなく、繰り返し検査できる新たな評価方法の開発が強く望まれている。

そうした中で注目されているのが、超音波によるせん断波と分散勾配を用いた手法。せん断波とは、超音波検査では、検査装置からビームを出して組織を非常に小さく振動させるが、その振動の伝わる波のことをいう(肝臓の組織が線維化で固くなるほどせん断波は速く伝わることになる)。また分散勾配とは、肝臓のような組織はせん断波の種類(周波数)によって、せん断波の速度が変化するという性質があることから、その種類ごとの速度をグラフにした際の傾きのことをいう。

過去の報告では、せん断波に影響を与える因子として、炎症やうっ血が挙げられており、せん断波の値に影響を与える炎症のレベルを把握することは、正確な評価を行う上で重要。そこで研究チームは今回、せん断波と分散勾配を肝生検の結果と比較することで検査の精度について検討し、せん断波に影響を与えると思われる炎症のレベルとその分散勾配についても検討することにしたという。

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