1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

名大など、月面探査車が昼夜の長期的な宇宙環境に耐えらる熱制御技術を開発

マイナビニュース / 2024年6月12日 20時47分

しかし夜間では、電子機器の保温のためにヒータなどで加温しても、LHPの動作により電子機器が冷えすぎたり、大きな電力が必要となったりする。そのため、EHDポンプによりLHPの流れとは逆方向に圧力をかけることでLHPの流動を止めれば、断熱を行えると考察。そこで、その実証のために新たにEHDポンプを開発し、JAXAの保有するLHPに組み込み、実験室環境での試験を行うことにしたという。そして実験の結果、EHDポンプの動作でLHPの動作を停止させることに成功したとする。

次に、今回の技術と、既存のLHP制御技術が比較された。対象技術は、LHPのリザーバにヒータもしくは熱電素子を取り付けてLHPを制御する「ヒータ制御」、LHPの蒸気管に圧力や温度によって受動的に開閉するバルブを取り付けてLHPを制御する「受動バルブ制御」だ。

ヒータ制御はLHPの圧力損失への影響はないが、数Wオーダーと消費電力が大きい。一方の受動バルブは消費電力はゼロだが、圧力損失が比較的高くなる(圧力損失が高くなると、日中の放熱時のLHPの熱性能に影響が出てしまう)。それに対して今回の技術は、消費電力はヒータ制御よりも小さく、圧力損失は受動バルブより低いという、両者のいいところ取りをしたような形となった。

実際に試験では、圧力損失はLHPの発生可能な最大圧力の0.5%程度で、消費電力は30mW以下だったという。日中の放熱特性を落とすことなく、夜間の保温を低消費電力で行えたのである。しかし今回は、まったくの新コンセプトを実験室環境で実証した段階のため、ローバに搭載するには、さらなる改良や、さまざまな環境での試験が必要になるとしている。

EHDは熱伝達率の高い、液体強制対流と沸騰・凝縮などの相変化を伴う熱輸送に適用可能であり、無重力下での新しい熱流体制御技術としてのポテンシャルが十分にあるという。今回の例にとどまらず、宇宙機における熱流体制御技術として幅広く利用できると考えているとした。
(波留久泉)



この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください