通信のIIJが千葉県白井市に農場を持つ理由とは - スマート農業実証実験の説明会を開催
マイナビニュース / 2024年6月12日 22時49分
その機能は、指定の時間に指定の流量で自動給水を行うというもの。上限水位センサーを利用して、設定水位に到達したら自動で止水するという機能もあります。
両社の説明を受けて、白井市側からは「スマート農業の導入でコスト面の負担はどれくらいになるか」という質問がありました。コスト面については、IIJからそれぞれの機器の代金や通信費用などの説明がありましたが、現状ではスマート農業システムの導入コストがペイするのは難しいとのこと。ゲートウェイを防災など農業以外の用途にも利用することを想定してインフラとして整備し、農家にはセンサーだけ負担を求めるような仕組みがありえるのではないか、あるいは補助金などの施策を考えるべきでないかという回答でした。国もさまざまな補助金制度を用意しているようですので、スマート農業の導入にあたってはその活用を図っていくことになるのでしょう。労力的には、スマート農業の導入で従来の7~8割に作業時間を短縮できるということです。
○センサーなどがあるのが通常の圃場との違い。不揃いな苗の列にIIJ社員の苦労が見える
2社のプレゼンテーションと質疑応答のあと、圃場に移動しての実地見学となりました。実験圃場は白井市の北部にあり、説明会の行われた白井市役所からは車に分乗して20分ほどの移動となりました。実験圃場は2カ所に分かれていますが、見学したのはそのうちのひとつです。
実験圃場には、他の圃場には見られないセンサーが設置されているのですぐにわかります。1枚の田んぼには、用水路からの取水口に給水装置が設けられており、取水口近くと排水口近くにセンサーが設置されていました。また別の田んぼには、取水口の給水装置とその近くのセンサーが設置されており、排水口側にはセンサーはありませんでした。
給水装置は自動開閉するのが基本ですが、手動での開閉も可能です。実際にゲートを開閉する様子も見せてもらいました。
今回の実証圃場は水田へのスマート農業導入の実験がメインですが、白井市の名産品である梨の果樹園のスマート農業導入についても取り組むビジョンがあるそうです。白井市からの発言にもあったように、農業の担い手不足は大きな問題。その環境を改善するスマート農業の発展は、今後の日本の大きなテーマになるのではないでしょうか。
(大塚洋介)
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