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カスハラと企業の対策に関する調査結果が発表 – 離職率にも影響

マイナビニュース / 2024年6月17日 6時17分

会社側の対応でセカンド・ハラスメントも

調査では、さらに踏み込んでカスハラが起きた際の現場対応や会社側の対応についてもアンケートを実施した。そこからも様々な問題点が浮かび上がってきた。

「その場の対応では、『ただ我慢した』が37%で最も高く、事後の対応では『社内の上司に相談した』41.5%、『特に何もしなかった』が41.3%です。また、その場の対応で『とにかく謝罪した』が26%になっていますが、日本国際観光学会論文集のデータによると日本は米国やイギリスに比べて、苦情対応の重視点が『謝罪』に偏っています」(小林氏)

日本の謝罪文化を裏付ける結果であろう。続いて発表された会社側の対応に関するアンケート結果も興味深い。

「会社の対応では『嫌がらせの被害を認知していたが、何も対応はなかった』が36.3%で最も高く、『認知していなかった』も19.3%でした。問題をさらに深刻にするのが、会社の対応で『ひたすら我慢を強いられた』といったセカンド・ハラスメントが起きていることです」(小林氏)

確かにカスハラを会社に報告したのに、まったく相手にしてくれなかったり、我慢を強いられたりしたら、さらに精神的ダメージを受けることは想像に難くない。
カスハラに強い組織づくりは信頼資産の貯蓄と心の負債の低減

カスハラ経験と離職率に相関関係があることは、カスハラを取り巻く現状分析からも明らかなようだ。

「多くの職場でカスハラが『我慢され』『放置され』『無視され』負の影響が大きくなり、転職意向が1.9倍になっています。結果、サービス職の人材不足が加速しているのが実態です」(小林氏)

企業がカスハラに対応しなければ、離職率が高くなることは容易に想像できる。どうすれば、離職率を低く抑えることができるのだろうか。

「大切なのは同僚や会社、上司への信頼である『信頼資産』を貯め、自己無力感や暗い未来展望、自責志向といった『心の負債』を減らすことです。信頼資産が多いと、カスハラがあっても『仕事を辞めたい』が23.3ポイント低く、心の負債が少ない場合も28.3ポイント低くなっています」(小林氏)

この結果を踏まえ、小林氏は具体的な施策も提言した。

「ポイントのひとつは人材マネジメントです。研修訓練による知識付与や告知ポスターなどによる対外コミュニケーション、相談窓口の設置などが考えられます。もうひとつは『次に活かす』会社対応です。事例の共有や対応マニュアルの作成等がそれに当たります」(小林氏)

働く側からすれば、カスハラを受けたくはないし、ましてそれを放置する企業に勤めたいとは思わない。カスハラ対策をしているかどうかも企業選びのポイントにすべき時代が来たようだ。

大塚立誌 おおつか・たかし 1961年2月8日生まれ。金沢大学法学部を卒業し、大手就職情報会社で編集を担当。その後、企業広報のプロダクションでライターとして経験を積み、35歳で独立。企業広報や求人広告のライティングを中心に活動している。 この著者の記事一覧はこちら
(大塚立誌)



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