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筑波大、ISS滞在中に宇宙飛行士の体内深部で起こる変化を捉えることに成功

マイナビニュース / 2024年6月13日 16時52分

6名の宇宙飛行士が対象とされ、飛行前後とISS滞在中に計11回、血液が採取された。その血漿部分に含まれる細胞外DNAやRNA(セルフリーDNA、RNA)が解析され、宇宙で変化する遺伝子の同定が行われた。同定された遺伝子の中には、特定の臓器や組織で働くことが判明しているものがあることも突き止められた。そうした情報をもとにすることで、宇宙環境に応答する臓器や組織の種類を推定することができるという。

今回の研究では、特に顕著な変化が見られた細胞外ミトコンドリアをより詳細に解析するため、361種類の候補タンパク質が調べられた。その結果、細胞表面タンパク質「CD36」が細胞外ミトコンドリアを分離する指標(マーカー)として有効であることが見出されたとする。次に、CD36に対する抗体を用いて、宇宙で血漿中に放出されるミトコンドリアを含む細胞外小胞が単離され、解析が行われた。すると、その由来組織として、脳、眼、心臓、血管系、肺や皮膚などを同定することに成功したという。さらに、宇宙で血漿中に放出されるミトコンドリアには、地上とは遺伝子の制御が異なる特徴があることも突き止められたとした。

また、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2016年に実施した宇宙におけるマウス飼育研究の際の血液検体を用いて、同様の解析が実施された。すると、マウスでもヒトと同様に、ミトコンドリアの変化が起こっていることが明らかにされた。宇宙環境には、無重力、宇宙放射線、その他の船内環境など、さまざまな要因が含まれるが、マウスの研究結果との比較から、ヒトで見られるミトコンドリアの変化には、とりわけ重力変化の要因が関係していることが示唆されたとした。

細胞外へのミトコンドリアの放出は、神経組織の炎症や代謝関連疾患などに関わることが報告されているという。宇宙で起こる変化と地上での疾患の関連を調べることで、地上と宇宙の医学研究の相互の進展が期待されるとした。また、表面タンパク質を指標とした血漿中の細胞外小胞を分離する技術は、リキッドバイオプシー解析の高精度化につながりうるものとする。さらに、機械学習や人工知能を応用したデータ解析技術と組み合わせることで、全身のさまざまな細胞の遺伝子変化を血液検体から予測することが可能になると考えられるとしている。
(波留久泉)



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