宇宙放射線に強く熱と光によって自己回復できる薄膜太陽電池、PXPが開発
マイナビニュース / 2024年6月13日 18時25分
次世代太陽電池スタートアップのPXPは6月11日、自己回復強化型の「カルコパイライト太陽電池」(カルコパイライト型の多元化合物を用いた薄膜太陽電池)を開発し、宇宙における強い放射線環境であっても高い耐久性を示すことを発表した。
詳細は、IEEE主催で6月に米・シアトルで開催された太陽光発電専門家会議「第52回IEEE PVSC」にて発表された。
カルコパイライト太陽電池は、放射線に対する耐性が高いことが知られており、たとえば放射線の一種である電子線を、宇宙環境で約100年分に相当する量を被ばくしたとしても劣化しないことが報告されていたという。また、最近の研究からは、被ばくによるダメージを、熱と光によって自己回復することが報告されており、これが放射線耐性の高さの理由と考えられるようになっているという。しかし、電子線よりもさらにダメージの大きい陽子線を大量に被ばくした場合は、自己回復が追い付かず、劣化が発生することも知られており、さらなる改良が求められていたという。
独自のペロブスカイト型/カルコパイライト型のタンデム構造を用いた、軽くて曲がる、割れないソーラーパネルや全固体電池一体型ソーラーパネルの研究開発を行っているのが、グリーンテック開発のスタートアップである同社だ。同社が研究開発している技術の1つが、自己回復強化型のカルコパイライト太陽電池で、高度約3万6000kmの静止軌道上の環境では約100年相当、高度約1000kmの低軌道上の環境では約400年相当の陽子線に被ばくした場合でも、熱と光による自己回復により、性能維持率を100%にまで回復することを、2023年6月にプエルトリコで開催された第50回IEEE太陽光発電専門家会議で報告済みだとする。
しかし、実際に太陽電池が運用される比較的低い温度や、別の太陽電池を積層し、タンデム化した場合にトップセルを透過した弱い光でも、同様の自己回復効果が誘発されるのかの確認が必要だったという。同社が開発しているタンデム構造の太陽電池には、上側にペロブスカイト型を、その下側にカルコパイライト型を積層したものがあるが、ペロブスカイト型では紫外光から可視光の赤い光の辺りの波長で発電効率が高く、カルコパイライト型では可視光の赤い光の辺りから赤外光で発電効率が高いため、トータルで紫外光から赤外光までの幅広い波長で発電するのが特徴であり、今回の研究では、そのペロブスカイト型のトップセルを通過した場合に、カルコパイライト型の自己回復効果が誘発されるのかが確かめられることとなった。
-
-
- 1
- 2
-
この記事に関連するニュース
-
リコーの宇宙用ペロブスカイト太陽電池が超小型衛星「DENDEN-01」に搭載
マイナビニュース / 2024年6月26日 18時3分
-
超小型衛星「DENDEN-01」にリコーの宇宙用ペロブスカイト太陽電池が搭載
Digital PR Platform / 2024年6月25日 14時0分
-
高層ビルが「発電所」に 窓や壁に…次世代型太陽光電池の未来 省エネ&創エネを実現
産経ニュース / 2024年6月20日 20時30分
-
宇宙で不死身の「曲がる太陽電池」
PR TIMES / 2024年6月11日 13時0分
-
LONGi、2023年年次報告書を発表
共同通信PRワイヤー / 2024年6月4日 11時9分
ランキング
-
1Googleが連続スクロール廃止、2ページ目以降の検索結果が見られなくなる?
マイナビニュース / 2024年6月26日 19時15分
-
2ダイソー商品18種の材質表示にミス発覚…… 返金対応実施「深くお詫び」
ねとらぼ / 2024年6月27日 7時30分
-
3BOSAI POINTサービス終了に伴い、nanacoポイントからのポイント交換サービスを終了
ポイ探ニュース / 2024年6月27日 8時43分
-
4アニメ「しかのこ」公式X、架空新CMが人類には早すぎると話題に 「なんもわからん」「公式が狂っているアニメは神アニメ」
ねとらぼ / 2024年6月26日 19時15分
-
5Amazon、10回目の「プライムデー」を7月16日から2日間開催 100万点以上が“特別価格“に
ITmedia NEWS / 2024年6月25日 21時15分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)