大河原克行のNewsInsight 第298回 白物家電は「建て直し必須」…パナソニックの危機感、市場激変で構造改革まったなし
マイナビニュース / 2024年6月14日 11時33分
パナソニック くらしアプライアンス社は、白物家電事業戦略について説明した。
パナソニック くらしアプライアンス社の堂埜茂社長は、「2024年度までの中期計画をコロナ禍の巣ごもり需要をベースに組み立て、アフターコロナの需要変化を完全に読み違えた。また、明らかともいえる商品競争力の劣後により、シェアがダウンした。国内白物家電事業は、建て直しが必須の状況にある」と危機感を募らせた。
2021年度に国内トップシェアだった冷蔵庫は2023年度は2位に落ち、電子レンジは1位から2位に、炊飯器は2位から3位に落ちた。一方で、強い商品力を誇るドライヤーやドラム式洗濯機は首位を維持している。
2023年12月に現職に就任した堂埜社長は、直近3年間はパナソニック 中国北東アジア社の社長を務めており、「私が中国・北東アジア社で強力に推進してきたグローバル標準コストの導入を全商品に展開し、中国勢に負けない価格競争力を実現する。さらに、差別化技術を織り込んだ『愛される商品』の陣容強化を図る」との方針を打ち出した。
中国勢の台頭で競争が激化、新販売スキームの成否は?
パナソニック くらしアプライアンス社では、中期計画の基本方針として、価値観の多様化や、先進国における高齢化の進行、サステナビリティへの対応といった社会課題を捉え、社会の変化に対応した新商品の連打や、それを支える技術開発の強化、商品の省エネ性能の進化および資源循環型の事業経営を行うことを掲げ、なかでも日本地域へ重点投資を行い、事業の基盤固めを行う方針を打ち出している。また、2025年度以降に海外重点地域においで収益の柱を確立する考えを示している。
だが、中期計画の2年目が終了した2023年度までの成果は厳しいものとなっている。
国内白物家電事業は、為替などの外部環境の悪化や、総需要の読み違えに加えて、シェアダウンが影響。また、海外白物家電事業も総需要の読み違えや、構造改革による一時費用などの影響で、いずれも減益になった。公表値に対しても未達という状況だ。
シェアダウンの要因について、堂埜社長は、「主要因は中国勢の日本市場での台頭」とする。
中国勢とは、日本のブランドを使用しながらも中国メーカーがバックにいる大手日本企業(シャープや東芝ライフスタイルなど)や、中国のODMをフル活用している日本の中堅メーカー、流通各社のプライベートブランド品などが含まれる。とくに、洗濯機、冷蔵庫、調理商品で、中国勢のシェアが増加していることを指摘する。
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