阪大、脊椎動物では卵子が寿命を延ばし精子が寿命を縮める可能性を発見
マイナビニュース / 2024年6月14日 23時7分
一方、雄では、生殖細胞の除去によるこれらのシグナルの変化はなく、異なる要因が予想され、生殖細胞を除去した雄(以下、雄)の体では、筋肉、皮膚、骨の健康状態が改善していたとする。筋再生に関わる筋肉の幹細胞、皮膚のコラーゲン、骨量の増加が確かめられた。その健康状態改善の要因を調べるために遺伝子発現の網羅的な解析が行われると、雄の肝臓において、ビタミンD活性化酵素の発現上昇が確認されたという。同物質は、カルシウムの吸収促進により骨を強くするが、それ以外にもさまざまな組織に作用して健康状態を改善する。実際、雄の筋肉と皮膚でも同シグナルが活性化しており、体格を大型化させる作用も報告され、雄で見られた成長促進は、ビタミンDシグナルによって引き起こされることが考えられるとした。
以上から、雄の生殖細胞はビタミンDシグナルを抑制しており、生殖細胞除去による同シグナルの活性化が雄の寿命延伸に寄与する可能性が考察された。しかし、ビタミンDで脊椎動物の寿命延伸が可能なのかは不明だったため、キリフィッシュに活性型のビタミンDの投与実験が行われた結果、雌雄共に寿命が延びたという。ビタミンDの投与で脊椎動物の寿命の延伸が示された初の研究成果であり、同物質がアンチエイジングホルモンであることが示唆された。
今後の課題は、寿命をコントロールするのが成熟した卵子や精子なのか、未分化な生殖幹細胞なのかが不明な点だという。また、寿命・老化に対する生殖細胞の作用およびメカニズムが、雌雄で大きく異なるという発見は、ヒトを含む多くの動物で見られる寿命の雌雄差の分子基盤や、動物の雌雄で繁殖戦略が異なる要因を理解する新たな切り口となることが期待されるとした。
加えて今回の研究成果などから、ヒトの長寿にもビタミンDシグナルが関与する可能性が期待できるという。今後、同物質が寿命を延ばす詳細なメカニズムの解明や、体内の同物質の合成・活性化の促進メカニズムの解明が進むことで、効果的かつ安全な健康寿命延伸法の開発につながることが期待されるとしている。
(波留久泉)
-
-
- 1
- 2
-
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「高齢でもヨボヨボにならない人」は明らかにその"数値"が低い…最新研究でわかった人間の寿命差を生む要因
プレジデントオンライン / 2024年6月25日 10時16分
-
長寿の秘訣は「卵子」にあり オスは精子で短命に…大阪大研究チームが魚で実験 おおさかラボ
産経ニュース / 2024年6月18日 19時28分
-
東大など、「クマムシ」の標的遺伝子を改変した個体の作製に成功
マイナビニュース / 2024年6月17日 17時9分
-
生殖細胞が脊椎動物の寿命・老化を制御 阪大らが解明
財経新聞 / 2024年6月16日 16時39分
-
"長寿サプリ"に飛びついちゃダメ…アンチエイジング研究第一人者推奨の心身健やかな「健康寿命」の延ばし方
プレジデントオンライン / 2024年6月3日 16時16分
ランキング
-
12億画素カメラと120W充電対応で6万円以下! さらに高コスパ化したシャオミ「Redmi Note 13 Pro+ 5G」
ASCII.jp / 2024年6月29日 12時0分
-
2早く歩けよ!ゲーマーに嫌われがちなNPC護衛/尾行ミッション…海外ゲーマーの恨みが募る
Game*Spark / 2024年6月28日 12時30分
-
3お風呂が超苦手な柴犬の“逆襲”に家族が大パニック! 爆笑の展開に「やることが大胆」「腹の底から笑った」
ねとらぼ / 2024年6月28日 8時30分
-
4高評価ファンタジー農場シム『Sun Haven』、最新アップデートで有志翻訳を削除。代替の機械翻訳に多数の困惑の声
Game*Spark / 2024年6月28日 11時17分
-
5「スト6ですか?」 “餃子の王将の価格改定”が「格ゲーの調整みたい」と話題に…… 「全体的にアッパー調整」
ねとらぼ / 2024年6月28日 12時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)