JAXA、超大質量ブラックホール同士が合体直前の可能性がある銀河を分析
マイナビニュース / 2024年6月17日 13時20分
今回のセイファート銀河は、2004年にアメリカに建設された口径2.5mの望遠鏡で行われた、可視光による最大規模の撮像分光観測サーベイの1つ「スローン・デジタル・スカイ・サーベイ」(SDSS)によって観測された銀河だ。その際に分光されたHα領域のスペクトルの分析から、1型セイファート銀河の典型的な特徴が確認された。
しかし、近年になってHα輝線が活発化し、同輝線は他に例を見ないほど複雑に広がったスペクトル(Central broad componentおよびDouble-peaked component)を示すことがわかったとのこと。そこで研究チームは今回、それらの起源を明らかにするため、国内最大の主鏡3.8mを持つせいめい望遠鏡を用いて、フォローアップ観測を1年に4度実施したとする。
今回の研究では、複雑なHα輝線が放射される領域を特定するため、連続光の変動の時間差が利用された。光の伝達速度(約30万km/s)が存在することを考慮すると、輝線と連続光の変動の時間差から放射源のおおよその位置を推定することが可能だという。その結果、連続光に対して有意な変化が示されたCentral broad componentは、連続光源から離れた位置から放射されていることが示されたとしている。
一方、Double-peaked componentは観測期間を通じて有意な変化がなく、これはSMBH近傍から放射されていることが示されているとする。つまり、Central broad componentは1型セイファート銀河で観測できる幅の広がった輝線と同じ領域であることが明らかになり、Double-peaked componentはCentral broad componentより内側に存在する降着円盤が起源である可能性が示されたとした。
研究チームは今後、さらに複雑なスペクトルが変動を起こす可能性もあることから、継続して今回のセイファート銀河を観測することで、SMBHの合体に関する新たな知見を得たいと考えているとしている。
(波留久泉)
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