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東大など、「クマムシ」の標的遺伝子を改変した個体の作製に成功

マイナビニュース / 2024年6月17日 17時9分

今回開発された手法について研究チームでは、高濃度のゲノム編集ツールを適切な時期の成体クマムシの体腔に注入することで、同ツールが生殖腺内の卵細胞に取り込まれてゲノム編集が起こり、ゲノムが改変された子個体が得られると説明しており、実際にいくつかの遺伝子を標的として、高濃度のゲノム編集ツールをさまざまな日齢のクマムシ個体に注入し、各個体から生まれた子のDNA配列が調べられたところ、7~10日齢で注入された場合に、遺伝子が改変された(ノックアウト)子個体が複数得られたという。

また、いずれの標的遺伝子の場合も、得られた遺伝子改変個体のほとんどは、改変された配列が1種類の「ホモ接合体」であったとしている。多くの動物はゲノム(全遺伝子のセット)を2つ持つが、ある遺伝子に注目した時、2セット共にまったく同じ配列を持つもののことをホモ接合体という(2セット間で配列が異なる場合は「ヘテロ接合体」)。これは、ヨコヅナクマムシがメスだけで繁殖する単為生殖という生殖様式を採っており、ヒトなどの多くの生物で採用している雌雄の二性による有性生殖とは異なり、遺伝情報の伝達様式が特殊であるために起きる現象として解釈されるとした。

研究チームでは、このようにシングルステップでホモ接合変異体を得られるようになったことで、その後の系統化や解析が容易になったと説明するほか、ゲノム編集ツールに、研究者がデザインした配列を持つ1本鎖DNAの「ssODN」を加えて注入することで、同様の手法でデザイン通りの改変を起こしたノックイン個体が得られることも確かめられたとする。

また、今回の成果を踏まえ、クマムシの耐性機構のみならず、進化発生学などの研究分野の進展も期待できるようになるともしているほか、クマムシの耐性機構の解明を進めることで、ワクチンや重要な生物材料の保存技術の開発にもつながることが期待されるとしている。
(波留久泉)



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