東工大、好熱菌由来生体触媒を用いてCO2を有機分子に固定する技術を開発
マイナビニュース / 2024年6月17日 18時45分
次に、天然の基質のみならず、非天然の基質に対してもこの反応の適応範囲を広げるための前段階として、カルボキシル化反応よりも簡単に進行する脱炭酸反応のTaMEの基質特異性が検討された。種々の有機酸が試された結果、天然基質のリンゴ酸に比べ、非天然基質の「イソクエン酸」に対し、約1.9倍の活性が示されたとしている。
さらに、それらの化合物がどのように酵素を結合するかについて、コンピュータシミュレーションによる予測を実施。すると、TaME中の「Thr46」がイソクエン酸と特異的に水素結合を形成し、これはリンゴ酸では見られないことが見出された。これにより、Thr46が基質特異性に重要な残基であることが示唆されたという。
最後に、非天然の基質である「α-ケトグルタル酸」からイソクエン酸へのTaMEによるカルボキシル化反応が検討された。その結果、TaGDHによる補酵素再生反応を利用すると、37℃・0.1MPa(常圧)のCO2下でイソクエン酸の合成が確認され、初めてTaMEによる非天然基質のカルボキシル化反応に成功したとする。
反応性の乏しいCO2を化成品に変換するには、高エネルギーが必要な場合が多く、そのことが技術開発における課題となっている。そのことから今回の研究成果は、CCUの発展に寄与できるという。さらに生体触媒を利用するため、水のみを溶媒とする反応であり、高温(高エネルギー)や有機溶媒などを必要としないことに加え、バイオ由来の触媒や原料とCO2から食品、医薬品に限らず、樹脂の材料などを製造するバイオものづくりへの活用も期待されるとした。
研究チームでは現在、TaMEの基質特異性決定に重要な残基であると示唆されたThr46を違うアミノ酸残基に変異させ、基質の適応範囲を拡張することを検討中だという。さらに、生体触媒の工業利用のために、酵素の再利用を可能とし長期間の利用に耐えるための安定性を獲得させ、フロープロセスも検討していく必要があるとしている。
(波留久泉)
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