奥田瑛二、「監督の“OK”は何点?」の答え “命がけ”で歩んできた俳優人生
マイナビニュース / 2024年6月19日 19時30分
――ベースに浮かんでいた作品を緒形さんに託したのではなく、そもそも緒形さんありきで生まれた作品なんですね。
「なぜ緒形拳をもっと使わないんだ!」と。「出ずっぱりで主役で使えよ」と。それで誰も撮ったことのない緒形拳を撮ろうと思ったんです。同じ俳優であり後輩である自分が、きちっと尊敬の念をもって立ち向かえば緒形さんもOKしてくれるんじゃないかとオファーしました。
○主演映画『洗骨』から新作『かくしごと』へ。
――2019年公開の主演映画『洗骨』は、奥田さんが口説かれた側ですね。あのときは奥田さんは。
5年前だから69歳かな。それまで、求められる役と自分がやりたいような役にはギャップがあった。
――そうなんですか?(苦笑)
説明セリフをベラベラしゃべったり。「もうそういうのはやめて、これからは人生を描けるような役を演じるぞ」と思っていたら『洗骨』の話が来たんです。ゴリちゃんからね(ガレッジセールのゴリ。監督名義は照屋年之)。調べたらショートフィルムなんかを撮っていて、「よし、一発、彼にかけてみよう」と決めました。
――こちらもステキな作品でした。
このときのプロデューサーのひとりだった小西啓介さんが、『かくしごと』のエグゼクティブプロデューサーのひとりなんですよ。
――そうなんですね! 本作は登場シーンから、奥田さんと分からないほどでした。
俳優はね、いつも傲慢不遜でなきゃダメなんです。教えてもらうことが大嫌いなんですよ。だから『千利休』のときも自分から茶道を習いに行った。「やってくれ」だとダメ。今回も脚本を読んで、どう演じたらいいだろうかということを自分で立体的に考えていくわけです。スタートラインの真っ白なところに自分をポンと置く。そこから、まず「この男は学校の先生だったのか」と。そして今は認知症であると。僕は(妻の)安藤(和津)さんのお母さんが認知症になったときに、一緒に面倒を見させていただきました。でも、また別に一度足を踏み入れる必要があるだろうと思って、施設を2カ所ほど紹介してもらって訪ねました。
――今回もご自身で調べて行ったんですね。
そこに入っている人たちと一緒に話したり、もちろん先生にもいろいろ質問したりしましたが、「僕たちも気づきませんでした」といったところまで観察しましたよ。みなさんと仲良くご飯を食べたりして見ていきましたから。そこから自分なりのキャラクターが出来ていくわけです。そういうことから始めないと、この役はできませんでした。1人でそういうことをするのが好きなんですよ。ところで、監督が「よーい、スタート」と言って、「OK!」となったとき、「OK」にもいろんな言い方がありますよね。同じ人なのに。たとえば「はい、OK」(あまり感情をこめず)、これは何点だと思いますか?
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