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九大、微小な「放散虫」の化石を毒物を使わずに岩石から取り出す手法を開発

マイナビニュース / 2024年6月19日 15時34分

そして水酸化ナトリウム溶液の効果を調べるため、三畳紀(約2億5200万年前~2億100万年前)の放散虫研究でこれまで多用されてきた、同生物の化石を大量に含んだ岩石であるチャートが用いられた。なおチャートとは、二酸化珪素を主成分とする、硬く緻密な珪質堆積岩の総称であり、放散虫の死骸が深海底に降り積もってできた岩石。日本各地から産出するが、今回は岐阜県坂祝町の木曽川河床から採取されたものが用いられた。そして、水酸化ナトリウム溶液のチャートに対する溶解度は、温度の上昇と共に著しく増加することがわかったという。

続いて、放散虫化石を取り出すために最適な試料量、温度、濃度、反応時間についての検討が行われた。すると、4~8mmサイズに砕いた5gのチャート試料に対し、4%の水酸化ナトリウム溶液を100℃において3日間加熱することで、大量の放散虫化石を得ることに成功したとする。フッ化水素酸を用いた方法と比べて岩石中から放散虫の抽出量が多く、また骨格の細部まで非常によく保存された個体を得られることも明らかになったとした(フッ化水素酸は珪酸に対する強い腐食性があるため、放散虫の化石にも影響を与えてしまう可能性がある)。

4%の水酸化ナトリウム溶液は、毒物および劇物取締法には該当しないため、従来のフッ化水素酸に比べると格段に取り扱いが容易となる上に、低コストである点も優れた点。水酸化ナトリウム溶液は中等教育現場でも利用される薬品であることから、今後は今回の手法を用いることで、教育現場でも放散虫化石を教材として利用できるようになることも期待されるという。また、上述したようにチャートは、日本全国に分布する岩石であり、地域に根差した教材として利用するのにも適しているとする。さらに、資源探鉱や地質調査業界といった産業においても、放散虫化石を地層の年代決定や環境解析ツールとして利用できるようになることが考えられるとしている。
(波留久泉)



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