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東工大、市販の個別半導体でデータと電力を同時伝送できる無線機を開発

マイナビニュース / 2024年6月19日 17時12分

さらに、中間周波数で動作する180度の移相器が実装され、「ビームステアリング」(電気的な制御により、電波のビーム形状を細く絞り、電波を任意の方向にピンポイントで放射する技術)も実現。この移相器も2つのバランICとDPDTスイッチICという個別半導体で構成されており、移相器内では、シングルエンドの信号をバランにより0度と180度の差動信号に変換した後、スイッチで互いに入れ替えてから、再びシングルエンドの信号に変換することで180度移相器として機能する仕組みだという。

今回試作された無線機のプロトタイプでは、整流器と移相器がそれぞれ256個ずつ実装されており、縦16個、横16個の256素子のフェーズドアレイアンテナが構成された。大規模なアレイ構成により、無線電力伝送時に生成電力の向上が望めるほか、通信時には180°移相器のみでもビームステアリングが可能となり、より幅が細いビームを形成できるという。OTA(Over The Air)の評価では、無線電力伝送時は1素子で50%の電力変換効率が達成され、256素子すべてを用いた場合は、1W以上の電力を出力可能であることが確認されたとするほか、5G信号を用いた通信能力の評価では、送信および受信ともに64QAM(64値直交振幅変調)の変調信号を用いた無線通信に成功したとする。

なお今回の無線機を、数m角の大規模なアレイアンテナへと拡大すれば、無線電力伝送による生成電力量が増大し、無線通信速度や距離のさらなる向上が可能となるという。今回の無線機は、無線通信の送信も受信もパッシブ動作であるため、大規模化しても消費電力が大きく増大することはなく、生成される電力の大半を増幅器や制御回路群に回せるとする。中継機の設置場所や中継距離に応じてアレイサイズを変えることで、電源線の有無にとらわれず、柔軟に中継機を配備できるとしている。
(波留久泉)



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