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ElevationSpace、初号機「あおば」回収カプセルの分離衝撃試験に成功

マイナビニュース / 2024年6月20日 19時16分

画像提供:マイナビニュース

ElevationSpaceは6月20日、同社が開発を進める宇宙環境利用・回収プラットフォーム「ELS-R」の初号機「あおば」の回収カプセルについて、分離衝撃試験に成功したことを発表した。

国際宇宙ステーション(ISS)が周回するような高度2000km以下の地球低軌道は、アクセスや物資補給・回収が比較的容易であることから、日本政府が2023年に発表した宇宙基本計画の中で「宇宙環境利用のための貴重な場」と位置付けられ、アルテミス計画をはじめとする月以遠への活動にあたり必要となる技術の獲得・実証の場としても利用していくことが明言されている。

しかしそうした中で、高度約400kmを周回しこれまで基礎科学的な実験から産業利用まで幅広く利用されてきた国際宇宙ステーションが、構造寿命などの関係から2030年に運用を終えることが決まっており、今後の宇宙環境利用の場を継続的に確保することが課題となっている。

これらの課題を受けElevationSpaceは、無重力環境を活用した実験を無人の人工衛星で行い、その成果物を地球へと帰還させて顧客のもとに届けるサービスとして、宇宙環境利用・回収プラットフォームの実現を目指している。同サービスでは、宇宙での実証・実験の場の提供に加え、成果物を回収できることから、宇宙で実証した材料やコンポーネントを地上で改めて詳細に解析することなどが可能に。より高品質な宇宙実証環境を提供することで、民間事業者などのさらなる宇宙産業参入促進や、日本の宇宙産業力強化に貢献できるとする。
○カプセルを地球に帰還させるための分離衝撃試験を実施

ELS-Rでは、ペイロードを搭載した衛星を宇宙へと打ち上げ実証・実験を行った後、高推力のハイブリッドスラスタによって地球低軌道を離脱して大気圏に再突入し、衛星本体から回収カプセルを分離させる。そしてカプセルが大気圏を燃え尽きずに突破し一定の高度に到達してから、カプセルのサイドパネルを展開することで内側のパラシュートが開かれ、緩やかに降下して海上に着水するという。

このサービスで重要な手順の1つである衛星からの回収カプセル分離は、ロケットの各段やフェアリング、ペイロードの分離にも用いられることの多いクランプバンドを使用した非火工品の分離機構によって行われるとのこと。このバンドを解放し、バネの力で回収カプセルに勢いをつけることで地球へと帰還させることになるといい、解放されたバンドは、バンドキャッチャーによって宇宙空間に飛散しないよう設計されているとする。また分離と同時にカプセルに軽微な回転を加えることで、より安定した姿勢で大気圏再突入を行えるよう制御するとのことだ。

そして今般ElevationSpaceは、同社R&Dセンターにて、人工衛星から回収カプセルを切り離す際の衝撃がカプセルやペイロードに与える影響を確認し、分離機構が正常に動作することを確認するための「回収カプセル分離衝撃試験」を実施。その機構が正常に動作することを確認し、分離時の衝撃データやバネの押し出しによる加速度データ・回転データの取得に成功したとする。

○ElevationSpace R&Dセンターで行われた試験の映像

同社によると、あおばの回収カプセルには、宇宙で培養を行ったユーグレナの微細藻類ミドリムシなどが搭載される予定とのこと。今後予定している打ち上げに向けさらなる技術開発を続け、より精度を高めていくとしている。
(鶴海大輔)

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