川崎重工が民間防衛用地下シェルター向け換気装置を開発、実証試験を開始
マイナビニュース / 2024年6月21日 13時25分
川崎重工業は6月20日、民間防衛用地下シェルター内の空気環境を維持する換気装置の初期プロトタイプ機を開発、2024年5月より実証試験を開始したことを発表した。
同社は、レジリエンスジャパン推進協議会が立ち上げた「災害大国日本における有事に備えた地下シェルターに求められる性能・仕様の在り方検討ワーキンググループ」に委員として選出。日本におけるシェルターの性能・仕様のあるべき姿の原案作成に参画していることもあり、国内で開発が進んでいない地下シェルター用換気装置の開発を、潜水艦の建造において長年培ってきた閉鎖空間内の環境制御技術に関する知見を活用する形で進め、2026年の市場投入を目標に掲げている。
開発された初期プロトタイプ機を用いた今回の実証試験では、このプロトタイプ機を用いて基本機能の検証を行い、その結果を踏まえた形でさらなる改良と必要な性能確認を行っていくとしている。
地下シェルター用換気装置には、災害や防衛などさまざまな衝撃荷重・汚染空気からシェルター内を防護・遮断することが求められるが、外気中のエアロゾル遮断には独自開発したガス透過膜を用いた換気システムで、従来はオフィスビルなどの快適な室内環境創出のために活用されている「SEPERNA(セパーナ)」(名称の由来は、SEparation(分離)、PERmeation(透過)、NAtural(自然)の頭文字の組み合わせ)が活用されているとするほか、有毒ガス除去には特殊な化学フィルターを適用することで対応することができるという。
SEPERNAは、ガス分子径の数十倍程度の微小孔を有するガス透過膜を用いているため、従来の換気システムで不可欠とされるフィルターを使用せず、また屋外の浮遊微粒子を室内に引き込まず、室内の二酸化炭素を屋外へ放出することができることから、地下の閉塞空間となるシェルター内においても、快適な空気環境を維持することが可能としている。
なお同社は、今後も地下シェルター用換気装置の開発を継続していくとともに、ワーキンググループにおける活動を通じ、人々の安全・安心でより豊かな暮らしの実現に貢献していきたいとしている。
(上定真子)
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