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アニメ『俺レベ』制作スタジオも注目! ソニー「mocopi」の意外な活用例

マイナビニュース / 2024年7月1日 6時0分

「兵士がどのように動くのか絵コンテの段階で決められています。その動きを私たち制作現場のスタッフがmocopiを装着しながら、よりリアルなモーションデータを取り込んでいます」(工藤氏)

3Dで制作したCGキャラクターに、mocopiで撮影したモーションデータを流し込みます。mocopiは指先の動きなどが記録できないので、まっすぐな状態で作画されたCGキャラクターの指先などに細かな動きを付け、細部を調整します。ほかにも、たとえばモーションデータに従って兵士が動き出すと、着ている鎧が身体に食い込んだような画になることがあります。このような部分をあとから手直しします。

さらにキャラクターの動きをアニメーションらしく見せるため、「タメ・ツメ」と呼ばれる動きの緩急を付けます。このような工程を経て、完成したアニメーションをレンダリングして納品するまでが一連の流れとなります。

mocopiを使えば、アニメ制作の時間・コストが抑えられる

『俺だけレベルアップな件』のこの場面が、なぜmocopiによるモーションキャプチャー制作に適していたのでしょうか。工藤氏は「CGキャラクターが大量に出てきて、似たような動きをするシーンだから」なのだと、その理由を次のように説明しています。

「mocopiの使用の有無以前に、CGによるアニメーション制作そのものが、大量に動くキャラクターをひとつの場面に描くことに向いています。大量のキャラクターを手で書いてアニメーションを付ける負担はとても大きいものです。従来はまず10人ほど単位でキャラクターを手で書いて動きを付けていました」(工藤氏)

大量の兵士が登場するシーンも、先にmocopiを使ってモーションデータを取り込んだ後に3パターンのアニメーションを作りました。それぞれ適当な数を割り振って配置したり、同じ動きをするキャラクターも動き始めるタイミングをずらすことで、それぞれが独自に動いているように見える自然な格闘シーンを描いています。

工藤氏によると、CGアニメーションの制作手法は大きく3つに分けられるといいます。

ひとつは「⼿付け」と呼ばれる⼿法で、PCソフトを使いすべて⼿作業でキャラクターにアニメーションを加えます。ふたつめは商⽤として販売されている「アニメーションデータ」を⼟台にする⼿法です。

そして3つめがスタジオでモーションキャプチャーのデータを撮影する手法です。

「この場合は撮影スタジオやアクター(役者)のスケジュールを手配したり、多くの前準備を伴います。また一度撮影したモーションキャプチャーのデータは納品に2週間ほどかかることが多く、かつ撮り直しが効かないため、撮影前の準備も入念に行う必要があります。時間やコストだけでなく、制作スタッフにも大きな労力の負荷がかかります」(工藤氏)

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