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早大、音楽ライブの観客間に強い一体感が生まれるメカニズムの一端を解明

マイナビニュース / 2024年6月21日 20時43分

そのため、(1)同一の参加者の認知システムは数日では変化しない、(2)状態感情(気分)は認知システムに日間変動を与える、という2つの現実的な仮定の下で、繰り返し音楽を聴く状況において同一個人は(他の個人と比較が行われた場合よりも)個体差が小さく信頼性が高いと見なすことにしたとする。

実験では、実験者に共通の楽曲である「課題曲」と、実験者がこれまでに最も感動した楽曲として指定した「自由曲」をランダムな順番で聴取してもらう手続きを、2日~7日ごとに4回にわたって実施。また、音楽鑑賞の前後にその時点での気分についての心理尺度を用いた回答も行われた。

分析では、得られた瞬時心拍数の時系列データについて、個人内または個人間でペアを作り相関が算出された。その結果、個人内相関は課題曲でも自由曲でも一貫して個人間相関よりも高いことが判明。また、音楽鑑賞の前後で気分の一部はポジティブに変化していたものの、実験前の気分がどれくらい似ているのかは、同期を予測することはできなかった。そのため、音楽の好みやその日の気分によらず、個体差が小さく入力に対する応答の信頼性がより高いことが同期に寄与する可能性が考えられるとした。

今回の研究成果は、心拍同期が音楽を聴く時のモチベーションの高さや気分の高揚ではなく、音楽を聴いた人が、脳内で処理して生理的応答が生じる際の信頼性に依存していることを示唆するという。これは、観客の入力に対する応答の確かさを高める仕組みを構築できれば、劇場での感動が高い確率で再現できることが示唆されるとする。たとえば、劇場の環境を設計することや、視聴デバイスなどで入力に対して応答が確かに生じるように補助することで「同期」を生じさせやすくなり、パフォーマンスをより楽しむことが可能になる可能性があるとしている。

なお今回の研究では、共通入力同期を厳密に検証するため、観客間相互作用を排除した実験系が用いられた。しかし実際の劇場では、観客同士が影響し合っていることはほぼ間違いない。今後は、共通入力同期を観客間相互作用がどのように促進してるのか、その影響力の強さを実証的に明らかにしていくことが劇場認知科学研究の課題として残されているとしている。
(波留久泉)



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