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北大など、歌鳥の異種間交配で親より子の学習能力が高くなることを発見

マイナビニュース / 2024年6月21日 20時43分

一方で、1細胞(シングルセル)遺伝子発現解析により、ハイブリッド個体の発声運動神経核のグルタミン酸興奮性投射神経細胞において、遺伝子発現レベルが親種間の平均値からずれている「非相加的発現」を示す遺伝子が多いことが確認された。それらの遺伝子は、イオンチャネルや細胞接着、グルタミン酸受容体シグナリングに関連する分子機能を持つという。さらに、ハイブリッド個体におけるそれら遺伝子群の発現レベルと学習した音素数には、有意な相関が見られたとした。

今回の研究成果は、子の学習能力は、必ずしも両親の中間にはならない場合もあることを実験的に示しており、まさに「トンビが鷹を生む」一例としている。実は、自然界でも多くの異種間交雑が起こっていることが最近わかってきている。今回の研究対象とされた種以外にも、歌鳥の仲間にはさまざまな歌学習能力を持った種がおり、その進化の過程において異種間交雑が一役買っていた可能性もあるという。どのような親種の組み合わせの時、どのような学習形式の時に、親の形質よりも子の形質が上回ることがあるのか、それがどのようなゲノム基盤のもとで起こるのかについては、さらなる研究が必要とした。

ヒトの双子研究からもさまざまな学習(計算能力・語学力など)に遺伝的要因が関係していることが示されている。しかし、それが実際にどのような遺伝子が、脳内のどの領域のどの細胞タイプに働きかけ、神経回路機能の何に影響を与え、個体差(個性)を形成しているのかわかっていない。歌鳥の歌発声学習とソングシステム神経回路に着目することで、その問題に挑めるという。また、将来的には、歌鳥の異種間ハイブリッド個体を動物モデルとして、神経行動学・神経分子生物学的な見地から教育学を考察する、「神経教育学」研究の寄与に貢献することも期待されるとしている。
(波留久泉)



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