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シーメンスが後押しする製薬業のDX化、世界と戦える工場の現場の姿とは?

マイナビニュース / 2024年6月26日 12時43分

まず1つ目は「エンタープライズレシピマネジメント」。これは、薬をどう作るのかというレシピ開発工程をデジタルで合理化するというもの。

2つ目は「デジタルスレッド」。これは、デジタル技術で工程と工程をつなぎ、無駄を省いていくことで、効率良く生産性の高い一貫したモノづくりをしていく製薬バージョンの構築を指している。今まで人間が間に入って取り次いでいた部分をどうやって減らしていくかが重要だとする。

3つ目は「デジタルツイン」。これは、リアルの世界に関連したすべてのデータとシミュレーションモデルが含まれたバーチャルツイン(双子)を作り連携させ、製薬開発などの工程に組み込んでいくことで最適化を図ることを指している。

4つ目は「レギュレーション問題の解決」。ディスクリート産業とは違い製薬業界は査察、例えば日本であれば厚生労働省、アメリカであればFDAなど、その国に医薬品を販売するときはその国の法規を守る必要があり、最近でも日本において製造上の不正が発覚したことで業務停止命令が出された企業もあることは記憶に新しいが、どのようにプロセスをデジタル化して透明性を確保するかを考えることが重要だとする。

特に、シーメンスはデジタルスレッドとデジタルツインの注目しているとする。デジタルスレッドの導入効果については、可視化ができることで状況把握および情報伝達時間の削減による業務スピードの向上が見込める点、ならびにペーパレス化ができるため、作業者による紙への記入、およびその報告といった作業時間の短縮や紙の使用量、保管場所の削減ができる点、さらに記録したデータの信頼性確保やセキュリティの実現ができるというデータインテグリティの効果がある点などがあるとする。

一方のデジタルツインについては、製品、製造、パフォーマンスのデジタルツインと、目的に合わせた工程におけるデジタルツインが可能だとする。例えば、新薬の開発におけるシミュレーションで治験はもちろん実施するものの、治験を行う前に医薬品が人体にどのように作用するかをシミュレーション上である程度把握できるようになったり、原薬の製造工程における攪拌、造粒、コーティングをシミュレーションすることで、現実世界で原材料を用いた実験を行う前に最適なパラメータを出すことが出来るようになったりするなど、作業工程の効率化に貢献することにつながるとする。「1つの医薬品が出来るまでに10年以上かかると言われていますが、その期間をどれだけ短くできるかはDX化にかかっています」と濱池氏は競争の激しい製薬業界における他社よりも早い開発の実現の重要性を強調する。

DX化が叫ばれて数年、現在の日本には各企業によって経営や風土が違うものの、他社が取り組んでいるDX化を見て、それを自社に合わせることなくそのまま導入したり、DX化を進めることでどのような未来が待っているかというビジョンを共有することなく推進してしまったり、コンサルタントにすべてをまかせてしまってうまく行かずに終わってしまった例など、産業分野問わず、DX化に失敗した事例は多々あるという。産業分野のDX化を支援してきたシーメンスの一員として濱池氏は、「日本人に今1番必要なことは、変わらないことが機会損失だという意識を持つこと」だと指摘しており、そうした状況に対しシーメンスとしては、世界的に進んでいるDX化の流れを日本の工場に合わせる形で提案し、より日本の工場がスマート化、最適化できるように尽力していきたいとしている。
(上定真子)



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