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すばる望遠鏡、カイパーベルトの外縁を超える可能性のある天体を発見

マイナビニュース / 2024年6月27日 14時54分

画像提供:マイナビニュース

千葉工業大学(千葉工大)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、国立天文台(NAOJ)の3者は6月26日、現在、海王星の外側に広がる「エッジワース・カイパーベルト(カイパーベルト)天体」を探査中のNASAの探査機「ニュー・ホライズンズ」の探査天体候補を探すため、すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ「Hyper Suprime-Cam」(HSC)で撮影されたカイパーベルト天体の探査画像に独自の解析手法を適用した結果、カイパーベルト領域を広げる可能性のある天体を発見したと発表した。

同成果は、千葉工大 惑星探査研究センター 非常勤研究員の吉田二美博士(産業医科大学 医学部 准教授兼任)、NAOJ 天文シミュレーションプロジェクトの伊藤孝士講師らの共同研究チームによるもの。詳細は、日本天文学会が刊行する欧文学術誌「Publications of the Astronomical Society of Japan」に掲載された。

海王星(太陽からの距離は約30天文単位)からさらに外側の50天文単位ぐらいまでは、小惑星などの小天体がリング状に分布した第2の小惑星帯ともいうべきカイパーベルトがある。この海王星軌道から、カイパーベルトを含め、「オールトの雲」(巨大惑星が弾き飛ばした微惑星が太陽を中心として球殻状に分布していると推測されている)の最外縁部のおよそ10万天文単位(=約1.6光年)ぐらいまでは、「太陽系外縁部」と呼ばれている。

現在の観測からはカイパーベルトの外端は50天文単位ほどで突然途切れているように見え、もし本当に太陽系がそこまでだとすると、これまでに観測されている多くの原始惑星系円盤の半径が100天文単位ほどあることから、太陽系はとてもコンパクトな状態で生まれたことになる。しかし観測できていないだけで、原始太陽系円盤は、ほかの原始惑星系円盤同様にもっと外側まで続いていた可能性もあるという。

またカイパーベルトの外端は、その外側の天体(惑星)の影響を受け、進化の過程で切り取られてしまった可能性もあるという。もしそれが本当なら、カイパーベルトのさらに遠方を観測すれば円盤を切り取った天体や、第2のカイパーベルトが見つかる可能性もある。このように太陽系外縁部にある天体を見つけ、その分布を調べることは、太陽系の進化を知る上で重要だ。

ニュー・ホライズンズは2015年に冥王星系をフライバイ観測して大きな成果を挙げた後、現在はカイパーベルト天体の観測を実施中。2019年には「アロコス」をフライバイ観測し、史上初となる太陽系外縁天体の表層の撮影を行った。その後もミッションは延長され、ニュー・ホライズンズが今後調査可能なカイパーベルト天体の候補を探すため、すばる望遠鏡も協力することにしたという。

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