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産総研、ナノスケールと原子スケールの両構造情報を同時取得する手法を開発

マイナビニュース / 2024年6月27日 16時48分

今回の技術による同時計測を実証するため、燃料電池のパラジウムを白金で被覆したナノ粒子触媒の分析が行われた。今回の計測法では、X線エネルギーのスキャンを省略できるため、高速な計測(ここでは0.1秒)が可能だ。またX線散乱分布について、新規開発の解析技術を用いて回帰分析が行われ、ナノ粒子のサイズとその分布、および白金被覆層の厚みが抽出された。このようにして、0.1秒の測定時間で、X線吸収スペクトルとX線散乱分布、つまり原子スケールとナノスケールの情報を同時に取得できることが示されたのである。

今回の計測法を、ナノ材料の動作条件下におけるオペランド観察に用いることで、ナノ材料の機能と構造の因果関係を詳しく知ることが可能になるという。従来の複数の計測法を用いる方法では、それぞれの計測において動作条件や試料状態の正確な再現が難しい場合、個別に得られた情報間、およびそれらと材料機能との因果関係を正確に捉えることが困難だったとする。

それに対し、今回の計測法であれば、同一の計測条件下で、原子スケールとナノスケールの構造が相互に関係しながら変化していく様子を詳細に知ることが可能とした。さらに、この観察結果を別途モニターした反応効率などの機能指数の変化と突き合わせることで、ナノ材料の構造がどのように材料機能と関係しているのかを、推測を挟まずに直接的に知ることができるという。このような知見は、ナノ材料の機能を最大化させる構造の予測につながり、革新的なナノ材料の開発に貢献することが期待できるとした。

また今回の計測法は、化学反応や材料劣化など、構造と機能が時間と共に変化していく場合に特に有効だという。今回の計測法を燃料電池や触媒などの動作中におけるナノ粒子の観察に利用し、反応効率や劣化耐性の高いナノ粒子の開発に貢献できるとした。また、今回の計測で得られる構造データを統合的に分析し、最適な構造や新機能を予測するマルチモーダル分析法の構築に取り組み、ナノ材料の設計手法として提供し、革新的な材料の開発に貢献するとしている。
(波留久泉)



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