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九大、脳の複雑な神経ネットワークを7原色で標識する手法と識別AIを開発

マイナビニュース / 2024年6月27日 18時32分

そこで、コンピュータシミュレーションと実際のTetbow標識法を用いて、標識する蛍光タンパク質の種類が3種類(3原色)と、7種類(7原色)の比較が行われた。その結果、シミュレーションでも実験データでも、7種類の方が、識別能が飛躍的に向上することが確認された。たとえば、3種類の蛍光タンパク質で標識した神経細胞同士の識別能は64.5%だったのに対し、7種類の蛍光タンパク質で標識した神経細胞同士の識別能は99.7%だったとする(閾値0.2の場合)。

続いて、色情報に基づいて神経突起の自動同定を行うプログラムの開発が行われた。まずそのために、色情報などの多次元データを閾値に応じて分類できる新たなプログラム「dCrawler」が開発された。これは、機械学習の一種の「教師なし学習」であり、今後さまざまな応用が期待されるという。

そして、神経突起の色情報を取得した上で、dCrawlerによる分類が実施された。そこからさらに、同種の神経細胞の神経突起を自動同定するプログラム「QDyeFinder」が開発された。従来、神経細胞の配線の様子を解明するには、人間が神経突起を1本1本手動でトレース(追跡)する必要があったが、同プログラムではすべてのステップの自動化に成功したとする。神経突起を手動でトレースした結果と、QDyeFinderが自動同定した結果の比較が行われた。すると、おおむね同程度の精度であることが明らかにされた。機械学習を駆使した既存の神経突起トレースソフトと比較しても、QDyeFinderの方が遙かに高い精度で神経突起の同定ができることも確認されたとした。

QDyeFinderを用いて、大脳皮質や嗅皮質など、いくつかの脳領域の標本を使って神経配線の自動解析が試みられた。その結果、たとえば大脳皮質では、色識別によって、ヒトの目では不可能な300種類もの神経突起を自動識別できたという。

QDyeFinderを用いることで、神経回路の複雑な配線を効率良く解析できるようになった。発達・学習過程で神経回路がどのように変化するのか、脳の疾患で神経回路の配線にどのような異常が生じるのかなどの研究が発展することが期待されるとしている。
(波留久泉)



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