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期待値を取るかリスクを取るか、選び方に国による差はある? - 早大の研究

マイナビニュース / 2024年7月1日 12時54分

一方、「~%で~円」の部分を明示的に示さず、試行錯誤によって学習させる「強化学習課題」も行われた。「AとB」「CとD」それぞれの組み合わせで学習し、期待値の高いAとCが選ばれるようになった後に、「AとD」「BとC」をペアとしてどちらが選ばれるのかを見てみると、「AとD」ではAを選ぶが、「BとC」だと確率的には期待値の低いCを選ぶことのほうが多くなったという。さらには、このような最適でない行動をする程度は、今回調べられたすべての国でほとんど違いが見られなかったとする。

つまり、経済的判断において、情報を説明された上で行う意識的な判断は社会経済的・文化的背景によって違いが出てくるのに対し、強化学習によって(おそらく無意識的に)形成される行動は、ほとんど影響を受けないことが示唆されたのである。

日本人はリスクを取らない傾向が強いといわれることがある。たとえば、1億円が当たる確率が1%の方が、5万円が当たる確率が50%の場合よりも、期待値という点では優れている。でも、報酬を得られないことを避ける傾向が高ければ、2番目の選択肢がより高い効用を持つように見えるかもしれない。

しかし今回の研究は、このような明確に情報が与えられた時の判断と、個人が試行錯誤の結果学んだ行動にはズレがあるということが示されているとする。研究チームはこの結果について、個人の意思決定だけではなく、医療・教育・経済・経営・政策など、より大きな枠組みを捉える時にも重要な知見となるとする。

今回の研究は、社会がグローバルな結びつきを強める中、ヒトの意思決定を支える共通の基盤としての強化学習が調べられたものになる。この研究結果は、多様な背景を持つ個人がどのように複雑な意思決定をしているのかについて明らかにし、産業界や政策立案者にも貴重な洞察を提供するものだと考えているという。また今回は、文化的・経済的背景を表すものとして“国”が一時的に用いられたが、研究チームは今後、さまざまな集団や個人差なども考慮して、ヒトの意思決定の普遍的な部分と多様性を解明していきたいとしている。
(波留久泉)



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