東北大、死細胞が老化を抑制する物質を分泌していることを動物実験で確認
マイナビニュース / 2024年7月3日 7時2分
そこで、その培養液を他の細胞に移譲して投与し、それらの細胞で遺伝子発現や増殖力、DNA修復などの比較が行われた。すると、フェロトーシスを起こした細胞の培養液の投与によって、細胞の老化性の遺伝子発現変化(がん細胞化ではなく、ストレスの蓄積に伴って起こる不可逆性の細胞の変化)が抑制され、細胞増殖とDNA修復が活性化することが明らかにされたとする。さらに、BACH1がフェロトーシスを誘導する際には、FGF21遺伝子の発現増加とFGF21タンパク質の分解抑制が組み合わさった二重の機構によって、FGF21分泌を増加させたことも突き止められたとした。
続いて、BACH1を欠損させてフェロトーシスを起こしにくくしたマウスが作出され、野生型マウスとの比較が行われた。その結果、肝臓や血液中でのFGF21が上昇しづらく、これらのマウスは肥満になりやすかったり、寿命が短くなったりすることが確認されたという。
以上の結果から、BACH1がフェロトーシスを誘導してFGF21を分泌させることで、生体において細胞の老化や肥満、短命などの老化に関連する特徴を抑制するという、フェロトーシス細胞由来のFGF21による抗老化シグナルが研究チームによって提唱された。
研究チームは今後、このフェロトーシス細胞からのFGF21分泌が、肥満と短命以外にも、その他のさまざまな老化に関連する病態を抑制するのかどうか研究する計画を立てているという。最終的には、このフェロトーシス細胞からのFGF21分泌を利用して、肥満、糖尿病、認知症、サルコペニア(筋肉量と筋力の低下)など、さまざまな老化関連疾患の治療開発につなげることを目指しているとしている。
(波留久泉)
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