ISTが事業報告会を開催 - 新経営陣が登壇し開発・ビジネスの展望を説明
マイナビニュース / 2024年7月8日 7時3分
取締役 VP of Launch Vehicleに就任した中山聡氏(衛星開発部 部長兼務)は、ISTの特色として「ロケット製造における内製率の高さ」を強調。生産技術や試験、品質管理など全体を社内で行うことにより、ロケット開発における競争力の鍵となる設計の自在性を確保し、低コスト・高頻度打ち上げに加え、市場ニーズに対して柔軟に対応できる体制の構築を目指すとする。
また社内の開発体制については、さまざまな経歴を持つメンバーが集結している点を特徴の1つとして挙げた。宇宙機開発に携わってきたメンバーを中心に構成されたエンジン・アビオニクスなどの開発チームに対し、構造の面では自動車業界など他業種からの知見を融合させたり、生産技術の面では製造業の現場を知る社員からの効果的なフィードバックを活用したりと、あらゆる知見を組み合わせながら最適な体制を整えているという。
そうした体制の下で現在開発を進めるZEROについては、エンジンの燃焼器単体試験やエンジン用ターボポンプの冷走試験、推進剤タンクの圧力試験などに無事成功するなど、順調に進行しているとのこと。サブスケールでの最終試験が現在進行中とのことで、無事成功すれば、いよいよフルスケールでの製造に進むことになると話した。
○熱田圭史 取締役 COO
熱田圭史氏は、事業開発や経営企画などビジネス面を担当するCOOに就任。ISTが目指す高頻度打ち上げを実現した先に、「ロケット×通信事業」というサステナブルなビジネスモデルを見据えているという。
人工衛星の打ち上げ数が爆発的に増加する背景には、将来的な衛星コンステレーションの構築による新たな通信環境の構築を目指す動きがある。ISTでは、衛星の打ち上げに不可欠なロケットの開発を担っており、衛星のペイロードというビジネスが可能となる。加えて同社は衛星開発も行っていることから、その垂直統合体制を活かした一気通貫での対応により、顧客ファーストでの新たなビジネスを実現したいと語った。
○辻高広 取締役 CFO
財務を司るCFOに就任した辻高広氏は、近年の宇宙輸送機市場を展望し「ISTが世界の宇宙産業に貢献できる可能性は大いにある」と話す。というのも、2018年ごろからスタートアップが数多く存在していた輸送機市場において、現在でもそのメインプレイヤーは変わっておらず、輸送機の供給不足は解決されていない。そうした情勢の中で着実にロケット開発を進めることができれば、業界での存在感を高められると展望した。
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