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モノのデザイン 第187回 シャープが満を持して参入のサーキュレーター、フクロウの翼もヒントに機能美を追求(前編)

マイナビニュース / 2024年7月23日 15時39分

そこで、フクロウの羽根の断面形状を応用した羽根の試作を使ったさまざまな検証が行われた。「羽根の大きさや高さを変えて、それらを組み合わせた試作機を何十個も作っては確認しました」と語る。

しかし、その過程は1つ条件を変えると別の要件が成り立たなくなるといったような紆余曲折の繰り返しだったいう。岡氏は次のように明かす。

「例えばファン形状が変わると気流が変わるため、変更の都度、送風部の前面側と背面側の2つのグリルの形状も性能面とデザイン面から精査して調整を重ねて行きました。特に背面側のグリルはもともと側面側には出てこない形状でしたが、性能をさらに向上させるために最終的には側面側にまで出すことになりました。送風部の印象に大きな影響を与えるエリアですので、背面の格子が側面に心地よく回り込むように意識しながら調整をしました。その結果、送風性能はもちろんのこと、見た目としても大風量を感じさせる機能表現に至れたと思っています」と岡氏。

外観上は、外側にファブリック(布目)調のデザインを採り入れているのも特徴だ。岡氏は、その意図や経緯について、「最初はメタリックなデザイン案もありました。しかし、インテリアとの親和性を考え、布目調の仕上げで、それを素直に体現できるやわらかな造形のデザインを採用しました」と説明した。

ファブリック調のデザインは、塗装ではなく、金型にレーザーで特殊な加工を施し、樹脂にパターンを彫り込んで仕上げられている。

「品位や風合いを出したいというのがあり、金型に布目調のパターンを彫り込みました。今回は、様々な布目調の壁紙や建材のシートからいくつかの候補を選定し、生産現場と実用化に向けて様々な調整を行いました。この方法により、風合いのある凹凸感があり、光の当て方によって変化する表情によっても品位を出すことができ、他社製品との差別化にもつながったと思います。塗装加工の場合には、塗装部分が不純物となり、塗装された部分をリサイクルして再利用することが難しくなるのですが、金型にパターンを彫り込んでいるため、その懸念がなく、環境負荷にも配慮することができました」(岡氏)

本製品を手にした際に、光の当たり方や設置場所により、微妙に表情が変化するデザインの美しさに目が留まった。品あるデザイン性はこうした質感へのこだわりにあると納得した。

(後編に続く)
(神野恵美)



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