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DRAMに代わる次世代不揮発メモリの機能と構造の関係を原子力機構が解明

マイナビニュース / 2024年7月10日 16時56分

アルミ酸化物のアモルファスと結晶の微細な構造データを比べると、アモルファスは強度が弱くてピークは幅が広いが、結晶は強度が強くてピークは幅が狭い特徴が確認された。これは、結晶では、原子がきれいに並んでいるのに対して、アモルファスでは原子が乱れて分布していることによるものだとする。

これらの微細な構造データの解析により、アルミ酸化物を構成するアルミニウムと酸素の原子ペアの種類ごとに原子間距離を求めることができるという。不揮発メモリ機能を示すアモルファスアルミ酸化物は、不揮発メモリ機能を示さない結晶アルミ酸化物と比べ、原子間距離が短くなっていることが確認された。アモルファスのAl-Al原子間距離は、結晶のそれよりも約0.008ナノメートル短かったという。また、アモルファスのAl-O原子間距離は、結晶のそれよりも約0.01nm短かく、O-O原子間距離は、両者でほぼ同じだったという。このように、非常に微妙な原子間の距離の違いが、不揮発メモリの機能に影響することが突き止められたのである。

不揮発メモリ機能が発現できる理由としては、原子同士の距離が短いことにより、不揮発メモリ機能を生み出す酸素空孔内の電子雲が、酸素空孔クラスタ内に広がりやすいことが考えられるという。このことは、理論計算による微視的構造の予想とも一致するとした。また、原子が乱れて分布することにより、実際に酸素空孔がアモルファスアルミ酸化物に数多く存在していることも判明。このことは、不揮発メモリ機能が生じるには、酸素空孔が重要な役割を果たしていることを示唆しているとした。

今回の研究により、不揮発メモリの機能を向上させるために、どれくらいの構造制御の精度が必要であるのかについて、定量的な値が解明された。このことは、今後、アモルファスアルミ酸化物不揮発メモリの研究開発を進めていく上で、非常に重要な情報だという。アモルファスアルミ酸化物は、稀少元素・有害元素を含まない低環境負荷材料であり、消費電力問題を解決できる電子材料になることが期待されるとしている。
(波留久泉)



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