名大、10kW以上の熱を2.5m先まで無電力輸送できるループヒートパイプを開発
マイナビニュース / 2024年7月10日 18時7分
今回開発されたループヒートパイプは、蒸発器の構造が最適に設計され、また最適な放熱条件が設定されることで、名大で過去に開発された最大のループヒートパイプよりも蒸発器のサイズを18%小型化しつつ、熱伝達特性を4倍以上、熱輸送量を1.6倍以上に向上させることに成功したとする。その結果、最大10kWの排熱を2.5m先まで無電力で輸送することが実現された。
今回の蒸発器は、従来一方向で構成されているグルーブ(蒸発器で生成した蒸気を蒸発器外に排出するための溝)を、3D微細グルーブ構造(グルーブ幅×高さ×ピッチ:1×2×2mm)を蒸発器ケース内側四面に採用することにより、ウィックとグルーブでの冷却性能(蒸発効率)を格段に上げることに成功し、4.5kW熱輸送時には、蒸発熱伝達率9万2000W/(m2K)が達成された。なお、蒸発熱伝達率とは蒸発による冷却性能を表す指標で、単位面積、単位時間、単位温度あたりの伝熱量のことだ。
ウィックはステンレス製のブロック型(W143×L145×H22)が用いられており、ウィックの高さ・コア数・コア径は、ウィック部の有効厚さをパラメータに、ループヒートパイプの性能に関係が深い熱リークと流動圧損が最小になるように決定された。その結果、最大10kWまでの熱輸送が確認されるともに、熱源面積換算した熱流束(伝熱面の冷却性能を表す指標で、単位面積、単位時間あたりの伝熱量のこと)は最大で30W/cm2が達成された。
今回開発された技術は、電気自動車、データセンター、月面探査車などの熱マネージメントの省エネ化に貢献するという。また、工場排熱や住宅における太陽熱利用など、これまで無駄に捨てられていたエネルギーを有効活用することで、カーボンニュートラルの実現にも寄与するとしている。
(波留久泉)
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