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神戸大など、同じ運動量でも痩せやすい人・痩せにくい人がいる理由を解明

マイナビニュース / 2024年7月16日 6時40分

また新規PGC-1αは、「褐色脂肪組織」での脂肪燃焼や熱産生にも重要な働きをすることも突き止められたという。動物は寒い環境では褐色脂肪組織の熱産生が増えて体温を保とうとするが、新規PGC-1αのノックアウトマウスは寒い環境で体温を保つことができなかったとした。褐色脂肪組織の脂肪燃焼減弱や熱産生低下も、このマウスの太りやすさと関係する可能性があるとする。なお脂肪組織には、主な機能が脂肪の蓄積である白色脂肪組織と、脂肪の燃焼である褐色脂肪組織の2種類が存在する。

ヒトにもこの新規PGC-1αは存在し、マウスと同様に運動をすると筋肉でこのタンパク質の発現が10倍以上増えることが確認された。運動による新規PGC-1αの増え方には個人差があり、新規PGC-1αの増え方が大きい人はエネルギー消費が高く、増え方が小さい人はエネルギー消費が低いことも解明された。同じ量の運動をしても、エネルギー消費が多い人(つまり痩せやすい人)と、エネルギー消費が少ない人(痩せにくい人)がいるが、新規PGC-1αの増えやすさはこのような個人の体質を決める要因の1つであることが考えられるとした。

PGC-1αは、運動時のエネルギー消費を制御する機能を持つ可能性が示唆されていたが、今回の研究で、実際にそのような作用を持つのは以前から知られていたPGC-1αではなく、新規PGC-1αであることが明らかとなった。

肥満はエネルギーの摂取と消費のバランスの乱れによって起こる。最近では、食欲を抑制してエネルギーの摂取を減らす肥満症治療薬が開発され、世界で広く使われ始めているが、エネルギーの消費を高めて肥満を治療する薬剤はない。

新規PGC-1αを増やせる物質を発見できれば、運動時のエネルギー消費をより高める薬(運動効果増強薬)、さらには運動しなくても運動時と同様にエネルギー消費を強める薬(運動効果模倣薬)の開発につながる可能性があるという。このような薬剤は、食事制限と無関係に肥満を治療できる薬剤になると思われ、そのニーズは極めて高いことが考えられるとしている。
(波留久泉)



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