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東大など、太陽ニュートリノとキセノン原子核の散乱の観測に成功

マイナビニュース / 2024年7月16日 6時50分

今回の実験で観測された、太陽内部で生成されニュートリノとXe原子核との散乱は、「ニュートリノ-原子核コヒーレント弾性散乱」と呼ばれ、素粒子の標準理論の枠組み内の現象であるものの、散乱で与えられるエネルギーが非常に小さいことと、反応確率が非常に小さいことから、その実験的な検証には40年以上がかかったことになる。2017年に、COHERENTグループが、米国テネシー州オークリッジの中性子施設で人工的に生成した高エネルギーニュートリノを使った実験で、ニュートリノと原子核の散乱を初観測。今回のXENONnT実験での観測は、太陽内部、つまり地球外で生成されたニュートリノと原子核の散乱をとらえた初めての報告だ。

今回の観測が実現したのは、XENONnT検出器が低エネルギー事象まで観測できることと、背景事象が非常に少ないことによるという。XENONnT検出器で取得された3.5トン年相当のデータに対し、解析条件を確定するまでは実際の結果を隠しておく慎重な解析手法である「ブラインド解析」が行われた。その結果、低エネルギーの原子核反跳の信号に、期待される背景事象よりも有意な超過が確認され、太陽ニュートリノによる信号「ボロン8」と矛盾しないことが判明。同信号超過は統計的有意度では2.7シグマに相当する(=背景事象のみに起因する確率が0.35%に相当)。

今回の成果により、ダークマター探索実験はニュートリノ事象が背景事象となる「ニュートリノフォグ(ニュートリノの霧)」と呼ばれる新領域の探索に入るという。XENONnT実験は今後もデータ取得を続け、ダークマターなど、宇宙物理や原子核物理での新しい発見を目指すとしている。
(波留久泉)



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